一生忘れない一瞬を (ページ9)

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保健室に入ると、うみと2人きりなんて少女漫画展開は無く

養護教諭の人が迎えてくれた

大量のティッシュと保冷剤をもらって
近くにあった椅子に腰掛けると、うみまで隣にしれっと座ってくる

『え、なに座ってんの』

「責任持って血止まるまで待ってあげる」

『体育サボりたいだけでしょ』

「あ、バレた？笑」

堪え性ないから
止まった？って何回も確認してくるうみ

ギャーギャー騒いでたら
保健室の先生が寝てる人も居るから静かにしてって

「だってさ、A」

『はー？8:2でうみのがうるさかった』

「どっちもうるさいわ
もー、迷惑な先輩達だね～」

カーテンみたいなやつで仕切られたベッドスペースを覗きながらそう呟く先生

「大丈夫ですよ
というか、そこに居るのもしかしてA先輩ですか…？」

布越しに聞こえた覚えのあるこの声

『桜子ちゃん？！』

うみと中を覗くとベッド座ってる桜子ちゃんの姿があった

「ほんとだ、桜子ちゃんじゃん～」

「あれ、知り合い？」

『そうです！部活の後輩！』

「あ、じゃあ貴方があのAさんか」

「先生！余計な事言わないでください」

「え～だめなの？」

やけに仲が良い桜子ちゃんと保健室の先生

“あの” ってなんだろう

気になったけど桜子ちゃんの慌て具合を見たらそれ以上は聞けなかった

『桜子ちゃんはどうしたの？鼻血？』

「Aじゃないんだから笑」

「私は、…」

困ったような表情

これも聞いちゃいけない事だった？

「はいはい、元気な人達は出てって～」

先生に押されて保健室を追い出された

てか、まただ

メールの通りになった
体育で怪我してうみと保健室に行った

偶々かもしれないけど
前回も今回もうみと桜子ちゃんが関わってる

2人の共通点ってなんだろう

気にしないって決めたはずなのに
嫌な胸騒ぎがして

どこかで信じ始めている自分がいた

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