女の子ですが ！

アマズッパイ ページ11

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『えーっと、今回の企画はですね、』




とある日のYouTube撮影。
今回の内容はメンバーが恋愛や青春などのお題に沿って“甘酸っぱいエピソード”をただ喋る、というもの。

どことなくその類の話はタブーな雰囲気が漂う東が、今回珍しく進行を務めているのだが。




猪「Aは喋んないでいいの？」

『えっ。いや進行役ですから』

瑞「別に進行でもいいでしょ？」

作「俺も聞きたーい」

『みんなの聞いてるだけでお腹いっぱいなのに…』




HiHi Jetsはそれをそっとしておくわけもなく。

1つめのテーマ「初恋」で全員喋り終えたタイミングで切りこんだのは猪狩。それに乗せられたメンバーがスタッフに確認を取ると、返事はOK。

…渋る東だが、急かす5人に勝てるはずなく。




『うーーん……あっ。あの、初恋っていうと、アレなんですけど』




一瞬悩んだあと、バインダーを伏せた。




『えーっと、5年？6年前かな、中学生くらいのとき。

もちろん既にジャニーズだったんですけど…女子じゃないですか、私。
今となってはなーんにも気にしてない！から心配しないでほしいんだけど、当時すごいなんというか、イヤな絡み方をされることもあって。

もうほんとにそれに困ってて、でもどうしようもないなあとか思ってたら、

…ね、ある日、そこにとある男の子が来たんです』




一言一言大切そうに話す東に、メンバーは歓声をあげながらも心を奪われていた。きっと視聴者もそうだろう。




『“なにやってんの？”って追い払って、助けてくれて。

もうそのときにうわ、ヒーローだ！少女漫画だ！って思って。キュンってしたなって…話です』




実話だけど恋じゃないから！なんて早口の弁明で話は終わった。

普段の東からは考えられない話や雰囲気に盛り上がる現場。端のほうからはアマズッパイ！なんて声もあがっている。


…そんな中、静かなメンバーが1人。






優「(…………それ、俺のことじゃね？)」




そう。
6年前の2015年、東を助けた「ヒーロー」とは他でもない、当時入所したばかりの高橋なのだ。メンバーすらもそれは知らない。

懐かしいな…じゃなくて、ヤバいだろ！！

なんて1人脳内で暴れまわる高橋だが、ぱち、とバインダーを持ち直した東と目が合う。




『………、ふふ』

優「(…！コイツ〜〜！)」

『…さて！では次いきましょう〜』




ば、あ、か。

口パクでも伝わったその言葉に、高橋が甘酸っぱい気持ちになるのだった。


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