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助ける方向が違うんだよなぁ。と、思いつつも帰る口実を作ってくれたことには感謝する。不本意ながらも素直にお礼を言えば、茅ヶ崎さんは満足そうに笑った。なんか、機嫌良さそうだな。
「こっちで飲み直す?」
『…いや、お酒にはいい思い出がないので帰ります。』
「へぇ、喧嘩売ってんの。」
『どうでしょうね。』
「茅ヶ崎、何やってんだ。」
「あ、先輩。」
「…って、お前…」
『弓原です。』
「何度も言わなくてもわかってるから。」
『どの口が言うんですか……』
「で、いい男は捕まえられた?」
「……え、先輩、こいつが合コン行くの知ってたんですか!?」
「相談されたんだよ。な?」
『したくてしたわけじゃないですからね!』
やっぱり、茅ヶ崎さんには言わないでくれてたんだ。ふーん…と、どこか面白くなさそうな顔をした茅ヶ崎さんが、腕時計を見た。
「帰るなら近くまで送ってく。」
『え、でも、先輩飲んでるんですよね?』
「ん。だから歩き。」
『なら別に一人で帰れますよ。』
「暗いだろ。駅まで送ってくから、早く鞄取ってこいよ。」
『…あの気まずい席に戻れと!?』
「しょうがないだろ。帰るならさっさと行けって。」
『先輩の鬼!』
「お前な〜〜〜〜」
口角がヒクヒクとしている先輩に、あっこれはまた拳骨が落ちてくると思った私は、仕方がなく、美咲たちがいる席へと戻ることにした。
*
「随分と肩入れしてるんだな?」
「……先輩こそ、勝手にあいつの相談に乗らないでください。」
「嫉妬深い男は嫌われるよ。」
「(このエリートクソメガネ…!)」
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作者名:しあ | 作成日時:2019年6月27日 22時