綺麗な花に棘がある。【茅ヶ崎至】 (ページ32)

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と、いうわけで。社員食堂で頼んだ親子丼と、卯木さんの分のうどん。空いている席に向かい合って座って二人して無言で頬張っているわけだけど。

視線が結構痛いな。さすが卯木さんというか。

『…卯木さんって、辛い物好きなんですか？』

「なんで？」

『何でって………七味かけすぎじゃないですか？人間が食べるご飯じゃない……』

「失礼だな。」

うどんが見えなくなるほどにかかった赤い七味唐辛子。匂いもすごいけど、それを平然とした顔で食べてる卯木さんもすごい。超人かよ。

汗ひとつかいてないし、この人は一体何者なんだろう。

「それで？何を悩んでるの。」

『…ああ………言わないとダメですか？』

「言いにくいことなんだ。」

『…言いにくいっていうか、仕事のことじゃなくてプライベートなことなんで。』

「別に俺は構わないけど。」

『……実は、今日の夜、合コンに行くことになってしまって…………』

「へぇ、意外だな。そういうところに行くようには見えないけど。」

『ですよね。私が行ったところで場違いだなとは思うんです。けど、高校の時の友人から頼まれて、どうしてもって。』

「ふーん。」

『…私、この見た目ですけど頼まれたら断れないタイプで、今回のもそうなんですけど。さっき、卯木さんがお昼断ってたのを見て、すごいなって思いました。』

「嫌なら嫌って言うのが普通のことだと思うけど。」

『それができないんですよ。私には…………って、今嫌って言いました？』

「気のせいじゃない？」

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