綺麗な花に棘がある。【茅ヶ崎至】 (ページ4)

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『……んっ、』

ちゅ、ちゅ…と可愛らしいリップ音が響く。ぼんやりとした視界の中に映り込んだのは、目の前でふわふわと揺れるブラウンの頭だった。

『……へ？』

首筋にピリッとした痛み。そのあとすぐに上からなぞられる赤い舌。絡んだ指、ベッドに縫い付けられた体。

……待って、なにこの状況。

ふわ、と髪の毛が顎に当たってくすぐったい。思わず身をよじれば、熱を帯びたマゼンダピンクの瞳とばっちり目が合った。

『…せんぱ、い？』

「あ………起きた？」

『な、に……！？ンンッ！？』

自分の唇が柔らかい“何か”によって奪われる。バカな私でもわかる。そういうのが疎い私でもよくわかる。これは先輩の唇だってことが。

嘘でしょ、待って。理解不能すぎる。なんで、なんで先輩が私にキス！？！？！？

『…ふ、んっ、ンーーーッ！！！！』

「っは……なに。苦しいの？」

『…ケホッ……何してるんですか！？』

「何って……寝込みを襲ってる最中。」

『襲っ……！？そういうのは、はっきり言わなくていいです！』

「お前が聞いたんだろ……。邪魔しないでよ。」

『はぁ！？…ちょ、まっ………ぅ、ん』

再び重なる唇からほんのりとアルコールの味。

_____そうだ、思い出した。

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