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*
「あっ、やっぱりいた〜！」
一通りヨンホに話し終えてようやく落ち着いた頃。
扉の開く感じと聞きなれた特徴のある声。
「Aちゃんの匂いがしたもんね」
『ふふ、なによそれ』
相変わらずの調子で私の隣に座るドンヒョクくん。
いらっしゃい、今日はひとり？と聞くヨンホに
「はい、ゼミ仲間と飲んでたんですけど。1次会で抜けて来てラッキー」
ね〜Aちゃんって私に笑顔を向けるから私もヨンホも眉を下げて笑ってしまった。
『ほんっと…ドンヒョクくんのそういうとこ好きだわ』
「えっ。俺のこと好き？好きなの？」
『もうーそういうんじゃなくて！』
「恥ずかしがらなくてもいいのに」
そういってケラケラ笑うドンヒョクくんは素直に可愛いと思う。
「ま、俺よりジェノのほうが好きだもんねえ？」
こういうところは可愛くないけど。
『ジェノくんもそんなんじゃありません』
さっきまで話題の人でしたなんて言えないし。
ヨンホはほかにお客さんが来たからそっちの相手に行ってしまってフォローもしてもらえない。
「てかさ、会ったりしないの？」
変に鋭い質問してくるのわざと？
『あ〜、、、昨日あったけど』
その瞬間おって顔をしたけど、ロンジュンくんと3人でって言ったら
待って俺呼ばれてないし！って予想通りの反応だったから少し可笑しかった。
『ジェノくん酔っちゃって、ロンジュンくんお母さんみたいだったよ』
「え？あいつが？酔ったの？」
『うん、やっぱそういう反応なんだね。ロンジュンくんも珍しいって』
「俺ら以外の人がいる場で酔うなんてマジでないからね」
そう言ってじーっと私の顔を見てくる。
『え、なに』
「ジェノのやつ、Aちゃんに結構心許してんだなあって」
一人納得したようにうんうん頷いてる。
ドンヒョクくんの言う通りであるならばそれはそれでなんだか嬉しくて
頬が自然と緩みそうになるのをこらえた。
「たまに何考えてんのかなってとこも正直あってさ。
でもAちゃんになら俺らにしない話もするかもね」
人当たりが良くて誰とでもうまくやってそうなジェノくんだけど
確かにあの時一緒だった女の人の存在も、親友ともいえる彼らでさえ知らないみたいだし。
だけど心許してくれてるかもしれないとはいえ、ぽっと出の私にそのことについて話すなんて
ありえないよね、とも思った。
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作者名：chato | 作成日時：2022年4月12日 23時
