【あんスタ】人魚姫【月永レオ】 (ページ15)

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tukinaga side

おれはいつも通り池で作曲をしていた。いつもと変わらないAとの他愛ない会話。だけどその日はいつもとは違った。

『ねぇレオ』

不意にAに話しかけられる。そんなAにおれは返事をする。今日は何を話してくれるのだろうか。

楽しいことだろうか。それとも最近あった話だろうか。あぁ、どんどん妄想が広がってゆく。これだからAと一緒にいるのはやめられない。おれは期待しながらAの言葉を待つ。

けれどAは視線を左右に動かした後、言いにくそうな口を開いた。

『あのね、私はきっとレオよりも先に死んじゃうの』

そんな言葉におれは鈍器で殴られたかのよな衝撃が頭に走る。Aがおれよりも早く死ぬ？

『だからね、もし私が死んだら私のこと忘れてくれる？』

なんて愛らしい口で残酷なことを言う。
そんなこと出来るはずもないのに。

｢A死んじゃうのか？｣

未だに信じられないおれは縋るようにAにそう聞く。
嘘だと言って欲しい。そう思いながらを見るがAは眉を下げて頷いた。

『うん、あと一年……ううん、半年かもしれないや』

Aは力なく笑った。そんな笑顔がおれの心臓を苦しめた。無理に笑うなよ。そんな言葉さえもおれはAにかけられなかった。

そんな自分が情けなくて、悔しくて、おれは下唇を無意識に噛んでいた。

｢怪我のせいなのか？｣

『それもあるかな』

静かに答えるAの横顔がいつもよりも綺麗に見えたのは気のせいだろう。

『だからさ、私が死ぬときまで一緒にいてくれないかな？』

パッとこちらを向いて笑うA。そんなこと聞かなくても元からそのつもりだ。Aのその身が朽ち果てるまで一緒にいると誓ったから。

『だめ、かな？』

震えた声で首を傾げながらそう聞くAにおれは

｢っ、おれも一緒にいたい！｣

そう言う。するとAはあの太陽のような笑顔で『ありがとう！』と言ったのだった。