リアルがロマンに浸るまで ページ17
互いが挨拶をし終わった後、ゆーくんは満足したのかランドセルをガシャガシャ揺らして走っていく
「あ!俺、今日日直だから先行くけ!まーくんはお姉さんとゆっくりなー!!」
「はぁ!?ちょっ、ゆー!待ち…行ってまった……」
「あはは…」
嵐が去った後のような気持ちでお互い顔を合わせていると、まーくんもとい仁王雅治の方は急にキッと目を細めてAを睨んだ
「俺は騙されん」
「へ?」
「弟には騙せても、俺はそうはいかんぜよ」
なんのことかさっぱりで首を傾げているAだったが、それが気に入らなかったのか腕をグッと掴んで顔を近づけた
「魔法使いだかなんだか知らんが、弟を誑かす奴は容赦せん」
キリキリと掴む手を強くする少年は立派な兄の目をしていたが他の理由もある目の色だった
まるで、困惑と拒絶のような
Aが違うことを考えているのが分かった少年はチッと舌打ちをして突き放すように離した
「大体魔法使いなんて信じるあいつもどうかしちょる…そんなもんおらんのに」
「どうしてそう思うの」
「は?」
「何故、魔法使いはいないと思うの?」
目線を合わせるため、しゃがみながら質問をしたAの声はなんの感情も得られなかった
そんな声に負けじと少年は答える
「魔法なんてもん非現実的じゃき。あるって思っちょる方が馬鹿馬鹿しい」
「ふーん…ならなんで君はマジックなんて、非現実的で皆を惑わすようなことをやり始めたの?」
「っ…質問ばかりしてる女は嫌われるぜよ」
どうやら地雷を踏んだのか、はぐらかされてしまった
嫌われるのは嫌だなぁ、と他人事のように笑うAに余計苛立ちを覚える少年
「君は現実主義なんだねぇ」
「…何が言いたいん」
「いや、随分つまらない頭してるんだなって」
敢えて煽るように言うAの策にまんまとハマった少年は怒ったように叫んだ
「つまらんって…!俺の事なんも分かっとらんに言うんじゃなか!!」
「じゃあ自分はちゃんと分かっているの?」
「どういう…」
「気づいてないのかい?
魔法なんてない、馬鹿馬鹿しい、言えば言うほど傷ついた顔して、痛々しいよ」
まるで、言い聞かせてるみたい
Aは立ち上がって見下ろす
少年は段々と目の焦点が合わなくなり、下を向いてしまった
「しょうがないじゃろ…だって、そうせんと…ありえん事じゃ、皆と同じじゃなきゃまた…」
一人ぼっちじゃ
そう言った仁王雅治は走り去ってしまった
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雲雀 - まいさんへ俺は亀更新でも楽しみに待っています。なのでゆっくりでもいいので更新楽しみに待っています。 (2021年9月30日 19時) (レス) @page29 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます!亀更新ですがよろしくお願いします。 (2021年9月27日 12時) (レス) id: ed3b470f19 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。これからの更新頑張ってください!楽しみにして待っています。 (2021年9月25日 15時) (レス) @page32 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まい | 作成日時:2021年5月3日 14時