姉と比べないで｡【文スト】【ヒロアカ】 (ページ7)

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Episode，five ページ7

『(お父さんになんて云えばいいんだろう。)』

Aは帰り間際、ずっとこの事を考えていた。

父親は姉、百の個性が出て喜んでいる。
けどどうだろう。其処で私が、

『私、個性ないんだって。無個性なんだって。』

なんて云ったら怒られるだろう。
まぁ打たれるよりかはマシだろう。

『(この際ストレートに云ってみようかな。正直に話せば怒られないかも…｡)』

そう思っていると、

｢A、ごめんね。お母さんからお父さんに個性の事云っとこうか？辛いでしょ？自分で云うの｡いいのよ、お母さんに任せても。｣

『いい、自分で云う｡自分の個性のことだから。』

Aは母に対し、ぶっきらぼうにそう云うと｡

母は、｢……そっか。本当にごめんなさいね。何も出来なくて、あなたの為だと思っているのだけれど、厭よね｡｣

それ以上は何も云ってこなかった。

Aも、母が何も云ってこないから、黙っていた。

Aと母親の周りだけ、氷のように、冷たい空間になっていった。

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遂に帰ってきてしまった。
もう引き返すことなど出来なくなってしまった。

でも正直に話せば、お父さんも許してくれる、大丈夫。何とかなるよ。

そう自分の心に言い聞かせていた｡

ｶﾞﾁｬ＿＿＿

重くて大きい、茶色のドアが開く。

部屋の中央には長い机(テェブル)と幾つもの椅子、電気に照らされて、キラキラ光る蝋燭立て｡

その椅子に、お父さんと姉の百が坐っている｡

Aが来るまで楽しく遊んでいたようで、
Aが来た途端に、遊んでいた手を止め、私の方を見る｡

Aはお父さんや百、冥土や執事の視線を感じながら、覚悟を決めたように、口を開ける。

『私、無個性です。』