姉と比べないで｡【文スト】【ヒロアカ】 (ページ26)

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Episode，twenty two ページ26

｢Aちゃん、いいかい？先ず最初に逢う人は、このマフィアの中で偉い人だ。｣

｢偉い人？｣

｢そうだよ、偉い人だ。美しくて華奢な人だ。｣

Aは太宰の話を聞いて、きっと吃驚するくらい、綺麗な人なのだろうと想像した。

｢さぁ、着いたよ。Aちゃんは私の後ろに隠れていてくれないかい？｣

Aは”なんで？”と聞きたくなったが、今ここでそんなことを聞いたら自分のことを執拗い子供だと思われてしまうと思い、云い掛けそうになった言葉を呑み込んだ。

Aは太宰の云われた通り、黙って後ろに隠れた。

それをみた太宰は、優しくAの頭を撫で、前を向き、ドアをノックしてから｢姐さん、私です。入ってもよろしいですか？｣と声をかけた。

数秒してからドアの開く音と共に、赤毛の着物を着た女の人が出てきた。

｢何じゃ小僧。今忙しいんじゃ、また後でにしてくれんかのう。｣

｢まぁまぁ、姐さん。姐さんがずっと逢いたがってた子を連れてきたよ。さぁ、Aおいで？｣

Aは太宰の声に反応するように、太宰の後ろから、ひょこっと顔を覗かせた。

女の人は、顔を暗くさせ、何かをブツブツと呟いている。

｢お主が、太宰の云っていた、子供かえ？｣

｢はい、そうですよ。｣

女の人は手を顔にあて、小声で｢な、なんと愛らしいんじゃ…。予想以上に可愛らしいではないかぁ…！｣と呟いていた。

Aはなんと答えていいのか迷い、けれど逢って挨拶もしていないと気づき、

｢あの、えっと、Aです。よ、よろしくお願いします。｣

と、声を掛けておいた。

女の人はAの声に答えるように、急に顔をキリッとさせて、

｢私(わっち)の名は尾崎紅葉じゃ。お主のことは噂で聞いておるぞ。実に愛(う)いしいのう。まるで、仏蘭西(フランス)人形のようじゃ。｣

と答えた。

｢じゃあ貴方は日本人形のように綺麗ですね。｣

｢日本、人形…？｣

｢あ、厭だったら御免なさい。只、本当に、日本人形のように、肌が白くて、着物が似合う人だなっと思いまして…。｣

姐さん＿＿＿尾崎紅葉＿＿＿は、ガバッとAに抱き着く。

Aはいきなりの事で吃驚し、太宰に助けを求めようと、太宰の方を見たが…。

太宰はニコニコとこちらを見ているだけで、助けようとしなかった。

姐さんは相も変わらず強い力でAを抱き締めていた。