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女の子が話しかけてきたので、
しれっと逃げようと歩き出すと掴まれた腕。
翔「おい、逃がさねぇからな」
『……』
掴まれた腕は振り解けそうにない…
私は観念して、
女「翔太…その女、誰？」
翔「あ、俺もうこの子と付き合ってるから。いい加減に諦めてくんね？」
女「…だから別れるなんて言ったんだ、ふーん」
翔「ごめん。もうお前とは……」
彼が話し続けるのを横で静かに聞いていたら、
私の顔が急にびしょびしょに…なった。
………え。
女「っふざけんな！クソ最低男！もう一生私の目の前に現れんな！！！」
暴言を吐いた彼女はその場を走り去っていった。
その場に残されたのは
呆然としているクラスメイトの渡辺翔太と、
そして……なぜかびしょびしょの私。
『…いやいやいや、なんで私濡らされたわけ！？』
翔「あはははは！！(笑)」
『笑い事じゃないんですけど！…へっくしょん！！』
翔「え、ごめん大丈夫？寒い？」
『大丈夫大丈夫…っくしゅん！』
大丈夫って強がってみたけど……
４月とはいえ、
夕方に外で濡らされたら…そりゃ寒いわ。
心の中でネチネチ愚痴を言っていると、
突然フワリと肩からなにかが掛けられた。
『なにこれ…』
翔「俺の上着…あ！ちょっと来て」
そのまま、また腕を引かれて行く。
とりあえず黙って着いて行ってみると、
『ここって、』
翔「うん、俺ん家。着替え貸すから上がってって」
『え？いいよ！大丈夫、帰る間に乾くから」
翔「やめとけ、風邪引く」
『いいって、気にしないで』
翔「元はと言えば俺のせいだし」
『いや、だから……』
それから何度かこのやりとりが続き、
キリがなくて…結局私が折れることになった。
翔「着替えここに置いておくから！」
『あ、ありがとう』
さっさと着替えて帰ろうと思っていたのに
家に入ると風呂場に押し込まれてしまい、
シャワーまで借りることになってしまった。
なんて強引な男……
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作者名：ルナルナ
| 作成日時：2021年1月19日 23時
