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54話 ページ6

さ「Aこっち!早く!」




『う、うん!』




「さとみくんどこよ?!!」


「宮内さんは?!!」




今何をしているかというと、さとみくんファンの女子から逃げている
なぜ逃げているのかというと…

遡ること数分前━━━━━━━━━━━━━━━




「『ごちそうさまでした』」



「そろそろ教室戻ろっか」



さとみくんといつも通りお弁当を食べて、教室へと戻ろう立ち上がる
それにつられてさとみくんも立ち上がって少し距離をあけて教室へと向かう
それが毎日のルーティーンだった
屋上に人は来ないけど教室に行くまでの道には誰かしらいる
誰かに2人で屋上から帰ってきてくる所を見られたらまずいということで距離をあけている



ただ、その日は教室まで行く道に人が少なかった




さ「今日は人いないから…」



その言葉と同時に右手が握られる
いわゆる恋人繋ぎというやつだ
さとみくんと手を繋ぐのは初めてではないがやっぱり恥ずかしくて顔が赤くなってしまう



『さっさとみくん
ダメだよ人少ないからって…誰か見てるかもしれないじゃん』



バレないためと心の中で唱えながら、手をはなそうとする

すると、その手を逃がすまいとまた強く握ってきた



さ「…やだよ俺
みんなにバレないようにって我慢するの
Aと距離が遠くなるなら俺はバレたっていいよ」




本当は私もバレないようにってさとみくんと距離が遠くなるのが嫌だった
堂々と手を繋いで、堂々と一緒にお弁当を食べたかった

私はさとみくんの言葉が嬉しくて、人も少ないし教室の直前までだよと言って肩を並べて歩いた


教室の直前になったら手ははなして、何事も無かったように教室に入った


私の中では誰にも見つかっていないと思っていたが、どうやらそれを誰かが見たらしい


昼休みには大騒ぎでさとみくんファンの子からさとみくんも私も追いかけられているのだった


そして最初の場面に戻るのだ

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作者名:みかんの果汁 | 作成日時:2021年1月2日 21時

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