【WT】硝子の靴は捨てた (ページ26)

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花のように可憐な彼女ページ26

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「凄いですね。殆どど真ん中だ」

狙撃の練習をしていると背後から声がした。振り返ると、蓮月が立っている。
びっくりした。
地味で薄暗い自分に蓮月が声を掛けてくるなんて。花のように可憐な彼女に鳩原は緊張のあまりごくりと唾を呑む。

「撃つ時に何か意識してることってあるんですか？」
「えっ、あっ、その……」

上手く言葉が出ない。
しどろもどろする鳩原に蓮月は「ゆっくりで大丈夫ですよ」と言う。年下である彼女に気を遣われるとは。鳩原は情けなく感じながらも深呼吸をしてから答えた。

「私、人が撃てなくて」
「うん」
「トリオン体と分かっていても殺してる感じがして。それで人を撃たないように練習してるの」
「記録(ログ)見ました。武器を撃ち抜くって難しいのに鳩原先輩百発百中で撃ち抜いてましたよね。あれ、相当な練習量重ねなきゃできませんよ」

尊敬しちゃうや、と微笑う蓮月に鳩原は不覚にも胸が高鳴った。蓮月は鳩原と同じ目線に屈み込んで頼んだ。

「鳩原先輩。私にも武器だけ撃ち抜くのやり方教えてください」
「えっ！？」

自分でも驚くぐらい大きな声が出た。
東と並ぶぐらい実力のある蓮月に教えてくれなんて頼まれるとは思わなかった。鳩原は慌てながら「蓮月さんに教えられるほど上手くないよ」と伝える。然し、蓮月は「いやいや。そんな謙遜しなくても」と笑う。

「ね。いいでしょ？」
「ひぇ……」

あざとらしくコテンと蓮月は首を傾げながら鳩原の手を握った。鳩原は妙な声が出た。女の鳩原から見てもこんな態度見せられたら可愛く思えたのだから、男の人が見てしまえば如何やることやら。

「わ、わかった。私が教えられるなら……」
「ありがとうございます鳩原先輩！」

本当に私でいいのかな……って不安に思いながらも年相応の幼い笑顔を見せる彼女に釣られて笑みを溢した。