痛そ ページ25
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「結構強く痕残ってんだな」
何十回目の蓮月の遠征後終わりの甘やかし会。今日の夜は冬島と東の奢りで焼肉らしく、その二人が来るまでの間にラウンジで風間、太刀川、蓮月で待っていると太刀川が蓮月の首元に目を向けて言った。
「痛そ」
「これだけで気が済むなら安いもんじゃないですか?」
呆気らかんと答える蓮月に風間は額にデコピンをし、「お前はもっと自分を大切にしろ」と叱る。「痛い」と額を擦りながら蓮月は文句を垂れた。
「私が我慢する事で解決するならそれが普通じゃないですか。何で怒られなきゃいけないの」
風間と太刀川は固まった。
もしかしたら死ぬかもしれないっていうのに、自分の身一つで解決するのであれば蓮月は死ぬ事すら躊躇いがない。否、彼女は死という概念に無関心なのだ。
「甘やかしてくれる日だというのに怒られた。もー、やだ。風間さん嫌い」
「怒ってないから拗ねるな。Aの好きなチョコあげるからこっち見ろ」
「あっ。メルティ!それ好き!」
あーん、と口を開ける蓮月の口の中へチョコを放り込む。風間はため息を吐く。あの遠征から帰って来てから、蓮月は笑顔が増えた。生きる為に人を殺し、目の前で人を殺される。多くの戦地に立ち続けた彼女は笑顔という仮面を作り出したのだ。
「あはは。風間さんがAに振り回されてる」
「そうなの?私、風間さんに迷惑かけた?ゴメンナサイ?」
「太刀川煩い」
「わー。俺が怒られた」
「太刀川さんも謝らなきゃ。ほら、ゴメンナサイって」
「風間さんゴメンね?」
「許すわけないだろ」
痛ァ!?と太刀川を声を上げる。風間が太刀川を足を蹴ったのだ。可哀想に、と蓮月は横目で太刀川を見つめているとピコンと蓮月の携帯に音が鳴る。携帯を確認すると、東たちが下で待っていると連絡が来た。了解、とだけ送って蓮月は二人の名前を呼ぶ。
「東さんら下にいるって連絡きました」
「おい、太刀川早く行くぞ」
「風間さん蹴んの容赦なさすぎでしょ……。めちゃくちゃ今痛いんだけど……」
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ミー(プロフ) - 面白かったです!更新楽しみにしてます! (2022年12月17日 22時) (レス) @page33 id: a2f01b8bd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミワ | 作成日時:2022年10月24日 22時