【WT】硝子の靴は捨てた (ページ3)

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社交的で笑顔に溢れた可愛らしい少女ページ3

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蓮月の父親は医者で母親は弁護士であった。父親はよく医師会会長のパーティーに出席していた。勿論、そのパーティには家族である蓮月も参加する。蓮月の家族は全員容貌が良く注目の的でもあった。

「A。恥をかかせないでよ」

それがパーティーに参加する前に両親から言われる言葉だ。蓮月は両親の求める良い子でいた。社交的で笑顔に溢れた可愛らしい少女を演じる。そんな蓮月に兄は何か気が触ったのだろう。蓮月を誰も居ない部屋に連れ込んで又暴力を振るった。

殴る。殴る。蹴る。蹴る。
狡賢い兄だ。顔は殴らず、お腹を中心に暴力を振る。自分の気が済むまで暴力を振るえば、「今日は家に帰れ」と蓮月に伝えてから部屋を出た。蓮月は落ち着いてから兄に言われた通りには一人で家に帰る。

「こんな夜に一人で歩くなんて危ないぞ」

帰っている途中最上と出会った。最上はいつもと格好の違う蓮月を見て、そういやコイツ蓮月家の嬢ちゃんだったなと思い出す。

　
「一人で帰ってんのか？」
「うん」
「親はどうした」
「お父さんらはまだ帰ってない。私は先に帰っていいよってお兄ちゃんに言われたからそれで」

蓮月はそう答えると、最上は少し悩んだ。
まだ小学生の子を家に一人にさせるのも怖いし、かと言って今から玉狛に連れて行くのも両親にとっちゃ迷惑じゃないのか、と。

「最上さん大丈夫だよ。家に一人は慣れてるから」

そんな最上の心を読んだのか。蓮月は答えて家に帰ろうとする。最上は慌てて蓮月を引き止めてから、直ぐに蓮月の両親に今日は玉狛に泊まらすとの連絡をした。最上は蓮月の両親の「えぇ、どうぞ」と呆気な態度だったのには疑問持ちつつも、蓮月を連れて玉狛へ向かった。

蓮月が泊まりに来たってことで小南は蓮月を喜んで迎え入れ一緒にお風呂に入ろうと誘う。しかし蓮月は一人で入ると断って一人で入った。ショックを受ける小南に年頃の女の子だから仕方がない、と林藤が慰める。

お風呂を出たあと蓮月は最上と一緒に今日泊まる部屋に案内してもらうと部屋から出てきた迅と会う。迅は蓮月を見た途端表情に血の気が引く。そして蓮月に近づいて腕を掴んで上の服を捲り上げた。突然の迅の妙な行動に最上は止める前に開いた口が閉じることができなかった。

「お兄さんにやられたの？」
「……」
「A、このままじゃ殺されるよ」

迅の言葉に蓮月は何も言わず、只々迅を見つめていた。

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