【WT】硝子の靴は捨てた (ページ15)

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私が狙撃手(スナイパー)として動いてからより一層玉狛第一の攻撃範囲が広がった。とはいえ、私も狙撃手(スナイパー)としての腕はまだまだだし、何よりも目が疲れる(･････)。遠距離からの透視で周囲の確認。そして未来予知で相手より先に撃つ。切り替える度に浮遊感の様なものが私に襲いかかる。戦場に立っている以上仕方がないっちゃ仕方がない。それに私が狙撃手(スナイパー)として動くことによってレイジさんたちが動きやすくなる。だから私が我慢すればいいだけの話。

ドンっと鈍器で殴られる感覚が襲う。複雑な感情が脳の中で混ざり合い、酷い耳鳴りと目眩に堪えきれず胃液を吐き出す。私の異変に気付いたレイジさんが直ぐに駆け寄ってくれて桐絵に何かを頼んでいる。

「A！A！」

桐絵が泣きながら私の名前を呼んでいた。遠征中何回桐絵の泣く姿を見たことやら。何だか申し訳なくなる。「大丈夫」と言おうとしても思った様に声が出ない。

今日はいつもより重症っぽい。なんて考えているとぷつりと意識が途切れた。

▼▽▼

目を覚した時には真っ白な天井が広がっていた。ここは何処だろう、と確認しようと身体を起こすと林藤さんが座りながら眠っている。

「林藤さん」
「んっ……あぁ、A起きたか」
「おはようございます。ここはボーダーの医務室ですか？」
「そうだ。お前が遠征で倒れてから直ぐに運ばれた。ちなみにまる二日眠ってた」

2日も眠ってたのか、と感心していると林藤さんは気難しそうな顔で言ってきた。「A。ボーダー辞めてもいいんだぞ」と。その言葉に私は目をパチパチとさせてから小さく笑って呟いた。

「辞めたとこで私の人生救われないよ」