【ハイキュー】及川さんの性格の悪さの原因の先輩が帰省してるらしい。【男主】 (ページ1)

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プロローグページ1

一本ナイッサー！

そんな掛け声が、風に乗って微かに聞こえてくる。

まだ五月前というのに日差しにジリジリと肌を焦がされる感覚にジワリと滲む汗。

上昇する不快指数とは裏腹に久々の故郷は何だか懐かしくて、どこか新鮮な感覚を覚える。

俺が足を運んだのは、未来を託した可愛い後輩が居る母校…

「えっ、あの人楠さんかなっ？」

「でも楠さんって青城出身じゃなかった？なんでうちに…？」

とかではなく。

黒いブレザーの女子高生がキャッキャと騒ぎ立てたり、ヒソヒソと話したりと好奇の目に晒される。

ニコリと声の方を見て笑えば、照れながら足早に去っていく女の子たちの影を見送りながら改めて校舎を見上げた。

そう、ここは黒いブレザーの女の子たち。

俺の母校であればブレザーは白。

これの意味することとは＿

「次レシーブ！」

ハイ！といったやる気のある声と共に俺は、体育館の扉をバァンッ！！と音が鳴り響く勢いで開ける。

勿論、例に違わず仁王立ち。

そんな音に驚いたバレー部員たちがなんだなんだと男を見る。

一人の嬉しそうな視線を除いて。

「えっとあの…どちら様でしょうか？」

「おりょ！俺を知らないとは珍しいね君！名前なんて言うの？」

「いや質問してるのは俺なんですけど…？」

指示を出していた男が扉の前の男を見て話し掛けるが

体育館の端方向から聞こえてくるドタドタという足音でその後に続くはずの声は掻き消される。

「知らないなら自己紹介しようかn」

「楠さんお久しぶりですッ！！！」

「久しぶりトビウオちゃんって、いやちょっ近いな！？」

「いつ宮城(こっち)に帰ってきたんスか？どうして烏野(ここ)に！？」

「答えるから！疑問形になる度に顔を近づけるのは止めて影山くん！？」

この間まででは考えられないくらいグイグイと迫る黒髪の青年に若干引きつつも久しぶりの挨拶をする。

少しぽかんとして置いていかれている周りの反応は面白い。

「えっ、楠ってあの…？あの楠さん？」

「君らが言う楠さんがどの楠さんか知らないけど、もし青城OBで今最も注目を集めているエリートバレーボール選手の楠さんの事なら、俺だよ！」

自慢げに笑うと少し引いた目をするのは薄い色素の髪の男。

男は思う。おい、仮にも俺は先輩だぞ？と。

「じゃ、改めて自己紹介をしようかな！

俺は楠 A。北川第一と青城のOBで、選抜に抜擢された現役医大生のバレーボール選手です！」

そのまま少し頭を下げた。