舞台挨拶(SVT) ページ15
「皆さんこんにちは!今日はわざわざお集まり頂きましてありがとうございます。」
私が、まるで私らしくない発声で挨拶をする。
そう言うと盛り上がる会場。
出演した映画を放映した後に登場したのだから当たり前かなとも思う。
通訳さんは必要無い。
なぜなら私が通訳できるからだ。
出演者たちも手を振りカメラやファンの声援に応える。
今回のドレスコードはシルバーで、フォーマルに纏めてきた。
主演の俳優さんと腕を組み手を振って会場を見渡す。
また、私がこの景色に戻って来れるなんて、思いもしなかった。
『本当吉沢さんのお陰です。』
『いやいや、俺は何もしてないよ。』
そう発してニコッと笑う主演の男は吉沢 亮。
私の出演したネットドラマを見てたらしく、テレビ番組で是非共演したいと言ってくれていたらしいのだ。
そのおかげで今、こうして肩を並べて舞台に立てている。
「エスさん、そろそろマイクをお持ちになってください〜。」
「あ、すみません。」
エス、私の芸名。
今まで通りの名前では活動出来なかった私は、芸名を付けて再始動する事にしたのだ。
そっと彼から腕を解き再び会場に目をやる。
私自身の全ての力を振り絞った映画の感想を聞くために会場に振ると歓声で応えてくれるから嬉しい。
そうこうしているうちに舞台挨拶と言うなのインタビューも中盤に差し掛かった時だ。
彼らと目が、合った。
ずっと会いたくて、それでも会ってはいけないと思ってた。
またそこに戻りたくなってしまうから。
私が一点から視線を逸らせないでいる事に気が付いたのか、吉沢さんがおーいと声を掛けてくれるが返事が出来ない。
既読を付けなかっただけで、ハンソル君の連絡は届いていた。
日本デビュー出来ると知った時は、本当にお祝いしたかったし私自身も嬉しかったんだ。
それでも言えなかった。
だって、私自身が決めたことだから。
「ではエスさんにもお聞きします___」
ふとその単語が聞こえてきて、慌てて質問に答えて行く。
そうして、大盛況のまま舞台挨拶を無事終えて控え室にて着替える。
それでも考えてしまうのは彼らの事ばかりで、マネージャーも大丈夫?と私に声をかける始末だ。
『ごめんなさい、ちょっと出ます。』
返事も聞かないでスニーカーを履いて走り出す。
きっとまだ会場に居るはずだ。
あの人混みの中帰ろうとすれば正体がバレるからきっとまだ、居る。
呼吸が苦しい。
それでも、一目だけ見たかった。
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ぴ(プロフ) - 最高でした… (2月29日 6時) (レス) @page50 id: 9dcff58a0e (このIDを非表示/違反報告)
恋@眼鏡(プロフ) - jsmn579733371さん» ありがとうございます〜!顔が好みすぎてお亮さん拝借しました笑 (2020年4月12日 0時) (レス) id: a273382bf7 (このIDを非表示/違反報告)
jsmn579733371(プロフ) - 主演俳優枠が吉沢亮なのがツボすぎて! (2020年2月20日 2時) (レス) id: bc3a6c1f44 (このIDを非表示/違反報告)
恋@眼鏡(プロフ) - かとれあさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しい限りでございます泣 これからも頑張りますね! (2020年2月18日 21時) (レス) id: a273382bf7 (このIDを非表示/違反報告)
かとれあ(プロフ) - やさぐれ姉さん大好きです(*´˘`*) (2020年1月27日 5時) (レス) id: 3fa9c6cc95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2019年9月22日 8時