いつかのフィルムに (ページ10)

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あの時と同じページ10

〈あ、こっちこっち！〉

レストランに行くと、太輔はもう先に着いていた。

「ごめんね、遅くなっちゃって」

〈いや、俺もさっき終わったとこだし笑〉

〈それより、良かったなぁ！おめでとう笑〉

「あぁ、うん笑ありがとう」

〈あれっ？昨日とテンション違くない？笑喜びすぎて燃え尽きちゃった？〉

「いや、そうじゃなくて…」

〈ん？どうした？〉

「今日会ったの、」

〈会ったって、誰に？〉

「宏。北山宏光」

〈…えっ、？だってあいつ地方の…ってことは昨日言ってたカメラマンって北山のことだったのか？〉

「うん…。でもね、彼、、車椅子だった…」

〈車椅子って、怪我かなんか…？〉

「ううん。大学入ってすぐ事故にあって、それから…治らないんだって、」

「宏、もう私のことなんとも思ってないよね…？」

〈それは…〉

こんなこと太輔に聞くことじゃないの、分かってる。

でも、私もこれからどうしたらいいのかわからなかった。

〈Aは、まだ忘れてないんじゃないの？〉

「え、？」

〈まだあいつが心ん中いるように見えるけど？笑〉

私がまだ、宏のことが好き……？

太輔は微笑を浮かべてパスタを口いっぱいに詰め込んだ。

〈仕事も頑張れよ？せっかくの企画なんだから笑〉

あの時と同じだ。

太輔は、私が宏とリレーの練習をしていると言った時と同じ顔してる。

「うん、頑張るね笑」

私は太輔にそう笑って返した。