いつかのフィルムに (ページ17)

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大丈夫だからページ17

まだ寒い空気が街を覆う中、私はコンビニまで走った。

すると、信号の向こう側にコンビニから出てきた宏が相変わらず器用に車椅子を動かしているのが見えた。

「ひろっ……」

私が彼の名前を呼んで彼が気づいて目が合った、

その瞬間、ほんの一瞬のことだった。

「ひろ、？！」

ガシャｯｯ──

目の前をトラックが過ぎ、そのまま向こうの歩道へ突っ込んだ。

そして、宙を舞った彼と車椅子は交差点の真ん中にドサッと落ちた。

「宏っっ！！！！宏！」

名前を呼んでも反応がなくて、顔の半面が血で真っ赤に染まっている。

「ねぇ、宏！目開けてよ！なんでこんな…っ泣」

救急車のサイレンが近づいて、担架に乗せられた彼と吸い込まれるように救急車に乗り込む私。

「彼、以前事故で半身不随なんです！何とかして助けて下さいっ、泣」

それから何度も何度も、〈落ち着いてください〉
と、宥められた。

応急処置をされている彼の手を握って祈った。

その時、

『A…っ、心配すんな、笑』

「宏！」

『大丈夫だか…ら』

ほんの少しだけ、彼の口角が上がった。

『A…』

彼がこの日、私の名前を呼んだのはこれが最後だった。

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