フィルムの奥に ページ16
数日後、会社にUSBが送られてきた。
私の名前を書き記した封筒。
相変わらず、宏の字は綺麗で丁寧だった。
〈あら、写真もう届いたの？今回のカメラマンさん、えーと北山さん？仕事早いのね〜！笑〉
と、チーム長が惚れ惚れしていた。
「はい、データ確認してきますね」
早速送られてきたUSBを開いてみる。
すると、沖縄でのあの3日間が鮮明に思い出された。
どれも在り来りな写真じゃなくて、沖縄の自然や空気を活かした美しい写真ばかりだった。
けど、、
「あれ、？」
海で撮った2日目に撮ったハイビスカスとか貝殻の写真がない。
まとめる時に入れ忘れたのかな…？
諦めようとも思ったけれど、やっぱりツアーの広告に欠かせない気がして、仕事を終えてから、私は宏が勤めるスタジオに聞きに行くことにした。
「えっと、、ここかな？」
そこは思ってたより大きな写真スタジオだった。
着いた時はもう夜だったけれどエントランスも明かりがついていたから入ってみる。
「すみません、私〇〇ツアーズの者ですが、先日北山さんに写真をお願いしてまして…」
〈あ、北山なら先程コンビニへ夜ご飯買いに休憩に出られましたよ。宜しければ彼のデスク前のソファでお待ちください笑〉
「あ、ありがとうございます…」
そろそろとソファに腰掛けると、宏が使っているカメラが机に置いてあった。
その横に印刷した沖縄の写真たちがバラバラと置いてある。
〈お、あなたAさんでしょ？〉
急に男の人に声をかけられた。
同僚の人かな…？
〈全く、フォルダの中、Aさんの写真ばっかじゃないですか笑〉
「え？」
どういうこと…？
〈あれ？知らなかった？その写真最後まで見てみて下さいよ〜笑〉
私はそれを聞いて直ぐにバラバラに置いてあった写真を1枚1枚見返した。
ハイビスカスを頭に指した私。
ソーキそばをすする私。
海の前で貝殻を並べている私。
私の写真がこんなにも…。
その瞬間私は気づいた。
自分の気持ちに。
そして、彼の気持ちに。
「すみません、コンビニってどこですか？」
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作者名：ユナ | 作成日時：2019年12月10日 10時
