【 歌い手 】点 P は 動 か な い 【 男主 】

#/31. キヨ side ページ31

告知無しの配信が始まった
また推しが〜とか言い出すのか、そう思ってたがそれは外れだったらしい。

「静かじゃね」

「確かに」

今隣にはフジがいる。

そして一言目が


『…死ぬかもしれへんわ…』


だった
なんだ、やっぱり推しの事か。噛み締めるタイプになったんだな。そう思った

が、様子がおかしい

間があるし声に元気がない



『…あっつ…』



あぁ、外に居んだな。
その考えもまた外れた



『…家ん中やで…』



と、どんどん小さくなる声
…何があった



「…これ大丈夫なやつ？」

「わかんねぇ…でも少し様子見るわ…」




言葉と言葉の間約5分




『…冷蔵庫もクーラーも壊れてんねん…あかんわ…』




その一言。
あの浮上してない3日ほど前から？
…いやこんな猛暑の中クーラーも冷蔵庫も使わねぇバカは居ねぇだろ
そう思ったがAはありえる。リトルマーメイドだ



『…』




10分の無言が続く
それには俺もフジも顔を見合わせ心配をした

だって俺の親友。
いつもの大声叫び声が無いとあいつじゃねぇ




居てもたってもいられずコメントを残した




＞今から行く @キヨ



『…あー…おぉ、おう…』



丁度見てくれたのかそう返事をしてくれた
その瞬間配信終了

「行く？」

「行ってくるわ、流石に心配」

「俺も行こうか？」

「あー…いや、大丈夫。フジまだ編集残ってるだろ」

そう言い、俺は財布と携帯を持ち外に出た。




＿＿＿＿＿＿＿＿



＿＿＿



外は暑かった。
それ以上にこの部屋は暑い

俺は念の為、と何故か合鍵を貰っていた
むわ、と嫌な熱気が外に出る

「Aー」

名前を呼びながら入るが返事がない
靴を脱いで暑い部屋の中を歩く

リビングに到着した時、ソファに横になるタンクトップのAの姿を見た

「おい、A、おい」

焦って走ってそっちに向かう

『…ほんまにキヨや…』

「キヨや、じゃねぇよ！この部屋暑すぎだろ！」

『…クーラーも冷蔵庫も壊れてんねん…
飯も食うてへんわ…』

そんなことを言うもんだから、汗を拭き、すぐに着替えさせた

「最俺ハウス！一旦そこ行くぞ！」

『…動けへんねんって』

「おんぶするから！！タクシーも呼ぶ！」

すぐに近くのタクシー会社に連絡
ここのマンションの下に止めてもらうことに。

10分ほどでタクシーが着いた

力のないAをおんぶしエレベーターで下に降りた

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