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#/27. ページ27

後ろから女の声がする
俺はただ腹が減ったからコンビニに行きたかっただけなのに。
リスナーらしき人と出会って追っかけてくる
俺の活動名を連呼しながら迫ってくる

ああ、怖い。

こんな暗闇の中走り続けるのは無理がある
足元も見えへんしここがどこかも分からへん

「こっち」

路地裏らしき所から手が伸びて、俺の腕を引っばった

『った…』

そいつは俺の口を思いっきり手で塞ぎ、あの女が通り過ぎるのを待った
少しして「どこ?」なんて言いながら通り過ぎて行ったのを確認する

『誰…』

「お前まじでた何してんの」

うっしーだった
大きなため息をついて俺から離れる

『…なんでうっしーが…』

「キヨが言ったんだよ、嫌な予感がするからコンビニの近くで待機してろって」

『いやなんであいつが知ってんの』

「どっからか見たんじゃねぇ…?まぁいいや、撒いたことだし帰ろうぜ」

『…ええわ、俺1人で帰れるし。ほんまに迷惑かけてすまん』

路地裏から出たうっしーの背を見てそう述べる
迷惑かけてばっか
助けて貰ってばっか

俺は助けたことがない。迷惑をかけられたことも無い。

全部俺ばかり

「お前さぁ」

沈黙が流れていたこの空間でうっしーが口を開く

「なんでそんなにすぐ謝ったりすんの?迷惑が〜とかなんで気にすんの」

『気にするやろ、迷惑かけてばっかですぐ助けて貰って。それも俺ばっか、謝るしかないやん』

「普通に感謝したらいいのに」

うっしーの言葉に言葉を詰まらせる。
確かに感謝の言葉を言ったことはあまり無いような気がする。
謝ってばっかで『ありがとう』なんてほとんど言ったことがないような。

『…』

「で、1人で帰んの?キヨは今コンビニにいると思うけど」

『ええわ、1人で帰る。こんな時間にこんな事させてほんまにすまん、ありがと』

「…そうやって感謝ばかりしてればいいのになぁ〜」

少し煽るようにうっしーは述べた。
やかましいわ、なんて心の中で思いながらも今の俺の口角は上がっていたのかもしれない。

あれから全く笑わなかった。
無表情で、あまり話さず。

『…俺が落ち着くまでもう少し待っててくれへんか、まだちょっと合わせられるような顔してへんし』

「分かった、でも会えなくても連絡はくれよな」

そうしてうっしーとその場で別れた。
走って家へと向かう
こんな場所まで来てもらうなんてほんとに申し訳ない。謝り倒したい

けど謝ってばっかじゃ前に進まへんしな

感謝しながらゆっくり進んでいこう。

#/28.→←#/26. ky side



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イヴ(プロフ) - 本当に良かったです..。とても素敵なお話でした。 (2020年9月7日 3時) (レス) id: 7e07113061 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ(プロフ) - 完結おめでとうございます!イノくんほんとに辛そうで見てて涙が出てきました..、読みながらENDはもしかして..と悪い方向に考えてしまっていたのですが10周年を気にネットから失踪っていう平和、というわけでも無いですけどイノくんが最後幸せそうにしているのが見れて (2020年9月7日 3時) (レス) id: 7e07113061 (このIDを非表示/違反報告)
ルンバ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白くて、感動してこの作品めっちゃ好きです!他の作品も応援してます! (2020年2月9日 0時) (レス) id: 0f30fdebb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヘーゼルナッツ先輩(プロフ) - 完結おめでとうございます。めちゃくちゃ納得のいく終わり方でした。とても好きです。完結ありがとうございました。 (2020年2月9日 0時) (レス) id: a2d6eb8699 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - とても好きだったのでまた、この小説が見れて嬉しいです!少し前と変わっていて前のも好きでしだが、今回のも面白いです!これからも自分のペースで更新頑張ってください! (2020年1月23日 1時) (レス) id: 54534f3d13 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:何某 | 作成日時:2020年1月18日 0時

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