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昨日読んだ少女漫画のヒロインは現役高校生で、勇気を振り絞ってイケメン幼馴染みに告白をし、無事結ばれていた。
私の場合現役高校生でもなければ相手は幼馴染みでも友人でもない。イケメンではあるけど。
つまり。つまりだ。この気持ちは何処に放ればいいのだろうかと思うわけだ。
別に玉砕するのは構わない。目に見えている。一晩枕に水たまりを作ってしまうかもしれないけど、きっと次の日には立て直せていると思う。
しかしそらるさんに「え…この女俺のことよく知らないのに告ってきた…やっぱ女って顔しか見てない尻軽しかいねーのか…」とか思われたら立ち直れない。
内心ドン引かせてしまわないか。そもそも迷惑じゃないか。悩みどころはそこである。
「またなんか小難しい顔してるー」
「……美人な先輩には分からない悩みです」
「Aちゃんこそ素材はいいのにね」
素材は、ってなんだ…？！
性格面に異常ありってことか……？？？
それ一番傷つくやつじゃないですか、と、むっとした表情をしてみる。先輩は綺麗な顔をクスリと笑みに変えた。
「なに？恋のお悩み？」
「なんで分かったんですか」
「私は恋に悩んでないからね」
先輩は少女漫画の向こう側の人間だ。だからそんな余裕なセリフが出てくるんだ。
私はますます眉を寄せる。幸せそうで何よりですよほんとに。
彼女が手にしていたタンバリンが机に置かれ、シャンと小さな音を鳴らした。
「私の場合向こうからの告白で付き合ってみたらどんどん惹かれてったの」
「完全に勝ち組じゃないですか」
「だからまあAちゃんのリクエストには答えられないけど………」
棚の上のタンバリンを規則正しく並べていく先輩の綺麗な手が人差し指を作り、レジの方を指した。
目で追うとそこには人が立っていて、いつの間に、と慌ててレジへ向かう。
「恋愛相談は女子の特権でもないのよ？」
財布を持ってぽかんとした顔で立っていたのは、黒いキャップに黒いマスクの怪しげなまふまふさんだった。
.
「ボク2回来たけど2回ともAさんは気づいてくれなかったよね」
「ごめんなさい、先輩とお話してて」
「ボクそんなに影薄いですかね！？」
「そんなことないですほんとごめんなさい！」
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作者名：- | 作成日時：2018年4月27日 22時
