密室、暗闇、二人きり。【そ.ら.る】 (ページ20)

今日:9 hit、昨日:7 hit、合計:789,768 hit

＊20＊ページ20

店内のアナウンスが鳴ると同時に、電気もテレビ画面もついて、それは電力の復帰を意味していた。

「……！お！」

「びっくりした」

「元に戻ったんだ、よかった」

そらるさんも体調悪そうじゃないし、無事復旧して本当に良かった。

少し名残惜しくもあるけど、立ち上がって仕事に戻ろうとした瞬間、手首を掴まれて引き止められた。

驚いてそらるさんの方を見ると少し目を見開いて固まっている。

…ん？その反応をしたいのは私なんですが…？？

「……そらるさん？」

「行っちゃうの？」

「えっはい、私一応仕事中ですし」

「そんな」

そんな、て。

本来あなたが暗闇が怖いという理由で一緒にいたのだから、明かりがついたならもう平気じゃなかろうか。

どうして引き止めるんだそらるさん。

私が「？？」という顔をしたのが伝わったのか、そらるさんはため息を吐いて手を離した。

「……ごめん、忘れて」

「忘れるんですか」

「俺に付き合ってくれてありがと。お礼はいつか必ずするから」

「いやいやお礼なんてそんな」

むしろ貴方のようなイケメンと同じ空気を吸えて幸せでしたありがとうございまぁす！とお辞儀をする。

そらるさんはくすりと笑った。

「…あっ！勤務時間過ぎとる」

「今日のAさんのお仕事は俺といることだったね」

「失礼な…！そらるさんが来る前にきっちり働きましたよ」

「そかそか」

「これ残業代出るかな」

「出ないんじゃないかな」

.