好きなんスもん【黄瀬涼太】

（２２） ページ24

．



「Aっち！！！」

『なになに、デザートならあげないよ』




食堂でご飯を食べ終わる頃、タイミングを見計らったように黄瀬が口を開いた。

いや、実際隣に座っていたから見計らったんだろうな。




「デザートはAっちが美味しく召し上がってくださいっス！」

『え、あ、うん。ありがとう？？』




お前はファミレスの店員か。

まさかそれを言うためだけに私を呼んだんじゃないだろうな、もしもそうだったらその口ひん剥いてやるぞ。




「本題はそうじゃなくて！」

『だよね、分かってた』

「お風呂！一緒に行かないっスか？」


『………なんかあんたが言うといやらしいね』

「えっ」

ち。




……ごめんふざけました。


にこにこと返事を待っている黄瀬には尻尾があるように見える。いや確実に尻尾がある、私には見える。




『私の性別知ってる？』

「可愛い可愛い女の子っスよ！」


『ってことは一緒に行っても結局はバラバラじゃん』

「そこで俺考えたんスけど、お湯は同じじゃないっスか。だから間接キッスならぬ間接お風呂、的な………？」




それはさすがに無理がありすぎじゃないか？？

黄瀬のめちゃめちゃ小さい頭で一生懸命考えたんだろうな、と思うと可笑しくなってくる。


そうだ、悪戯を思いついた。




『じゃあ一緒に入る？』

「え”っ？！？？！」

「ぶっっ！！？！？」

「はぁっ！？！！？」




黄瀬は驚いた他、何故かそこにいた海常の選手たち含め陽泉の選手たちにも聞こえていたらしく、全員から驚きの眼差しを受けた。


いや私の声通り過ぎん？？？




『あ、ごめん冗談です』

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