好きなんスもん【黄瀬涼太】

（１７） ページ19

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「Aっち隣いいっスか？」

『やだよ一人席がいい』

「お邪魔しますっス！」

『って勝手に来んな！』




バスの座席に勝手に座ってくる黄瀬。

言い争いをしている私たちに盛大に溜息を吐く笠松先輩と「俺の隣においで」とカッコつけてくる森山先輩。既に二人で仲良く喋っている早川先輩と中村先輩。それら全ての光景をにこやかに微笑んで見ている小堀先輩。


カオスってこういう状況のことを指すんですかね？？？




「せっかく隣に座ってるんスから何かしようよ！！」

『勝手に座ってきたんでしょ』




と言いつつも、やろうと誘われれば断らない。

やけにテンションが高い黄瀬だが、私も人のこと言えないかもしれないね。




「これやろこれ！！」

『いいよ』




両手の人差し指を突き出して、手が「5」になったらアウトになるやつ。「これ」と言うだけで何をやるのか理解出来るゲーム。
小学校の頃よく狂ったようにこの遊びをやっていた思い出が皆もあると思う。




「きたこれきたっス！！！」

『うわ待ってやだ負けた！！もう一回！！！』

「じゃあ次これやろ！！」




と、黄瀬が出してきた手の形は「いっせーのーせ、いち！」という掛け声で数字を言い合うゲーム。

その次はもう一回人差し指を出し合う。結局到着するまでその繰り返しだった。



バスの中二人で盛り上がりすぎて「せーのせーのうるせぇ！！！」と笠松先輩に怒鳴られ、バスを降りるとシバかれた。

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