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深澤side
「ちょ、翔太、あー、どうしよ、一旦座ろ？えっと、ティッシュティッシュ、あーあった」
ひとりでタジタジとする俺。
と、虚な目でストンと脱力的に座った翔太。
とりあえず適当にティッシュを濡らして翔太の口にそっと当てれば、
少し痛かったのか微妙に顔を歪めた。
「あーごめんごめん。痛かったな。でもバイ菌入っちゃうと危ないからな。ちょっと抑えといてな」
うんともすんとも言わず、ただ言われた通りにティッシュを抑える翔太。
側から見たらめっちゃ冷静に見えるかもだけど、
俺今めっちゃパニック状態。
なにすればいいかわかんない。
しかもなにが起こったかもわかんねえしさ。
本当ならここでズバッと聞いて解決するのが最年長の役目なんだろうけど、
もしめちゃくちゃ触れられたくない事情があったりして翔太を傷つけたら、、って思ったら、
なかなか話題に触れられない。
渡「………なんでもねえからさ、」
ポツリと翔太から放たれた言葉。
声色からしてなんでもないわけないのに、
なんでそんなに強がろうとすんだよ。
渡「ちょっと転けただけだから。…その、」
「しょーた」
渡「…なに、」
「話してみ？」
一瞬目を見開いて、なにかを言おうとした
けど、小さく頭を振って「なにが？」って。
隠すの下手かって。
何年の付き合いだと思ってんの？
「しょーたはさ、もしもね？俺が血流して泣きそうな顔で楽屋戻ってきたらどう思う？」
渡「え？どうって、」
「心配になんない？」
渡「……なる」
「そゆこと。…だからさ、ね？」
ちょっとでも気持ちが楽になれば、て思って言ったんだけど、
どうやらそれが翔太の心に触れたようで。
じわじわと涙が浮かんできたかと思えば、
ポロポロと涙を流して顔を歪ませた。
「あーあー、どうしたどうした、思い出しちゃった？苦しいことあったんだなー、嫌だったなあ、」
渡「うっ、…うぅっ、…いたかったっ、殴られてっ、いたくてっ、……まいにちっ、」
「ごめんなぁ、やだったなあ、翔太そういうの言うの苦手なのにな、言ってくれてありがとなぁ」
ギュッと俺に抱きついて、声をあげて泣き始めた翔太
歳そんな離れてねえのに、
なんでかすげえ小さく見えた。
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作者名：やまさき | 作成日時：2021年4月16日 17時
