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『なにそれぇ(笑)私のせい?』


「Aちゃんのせいだね、確実に」


『んー、それはじゃあごめんなさいだ。そうならないように、向こう見ておきます』


「あー、ダメダメ!そしたら隣の運転席の人にAが可愛いのバレちゃう!」


『じゃあどうしたら良いの?』


「黙ってキスされてください(笑)」


『んふふふ』


そうやって愛らしく笑うから、唇に軽く触れるだけのキスをした。


もう好きで好きで仕方なくて、本気で閉じ込めておきたい


誰の目にも触れさせたくない……


なんて言ったら笑われるだろうなぁ……。


たわいもない話をしながら、水族館でチケットを買おうとしたら


受付のお姉さんに学割ありますよって言われて、Aちゃんが持っていた学生手帳を出した。


割引してくれるからね。


でもそういうの見ると、仕方ないんだけど、歳の差を感じずにはいられないというか


罪悪感が俺の心をゆっくりと暗くする。


『潤?』


「ん?」


『楽しみっ!イルカショー!』


「うん、そうだねー。結構良いって聞いた」


Aちゃんが俺の顔を覗き込みながら、あどけなく言って


指を絡めてしっかり繋がれた手を、軽く引っ張って


待ちきれないというように、歩き出した。


この笑顔を見て、Aちゃんは俺みたいに不意に訪れる罪悪感なんて、感じることはないのかも知れないなぁって。


俺がかなりの頻度で気にしすぎてるだけで


Aちゃんはいつも通りニコニコ。


『見てみて!もう綺麗!』


「うん!」


エントランスの演出を見上げて、感嘆の声を漏らす。


『あ、みて!すごい!メリーゴーランドあるよ!あ、でも馬じゃないね……』


「水族館だからね(笑)乗れるみたいだよ、乗る?」


『んー……』


俺の顔をちょっと笑いながら不安そうに見てくる。


乗りたいけど、乗るの恥ずかしいとかかな?


「乗ろうよ」


『いい。潤がこれに乗ってるの想像しただけで、面白すぎるから乗れない(笑)』


え、そっち?!(笑)


「似合いすぎて?」


『似合わなすぎて!』


「んだよぉ(笑)」


『潤、あっち!クラゲ見たかったの!』


俺の手からすり抜けるように離れてしまって


光に照らされたクラゲたちを、食い入るように見ている。


離された手がやけに寂しくて


いつの間にか、こんな風に


しかも突然、俺の手から離れてしまう時が来るんじゃないかと、不安になった。

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作者名: | 作成日時:2020年12月16日 14時

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