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そう言いながら、軽く唇を尖らせ、カップの淵を指でなぞった。
「寂しい時あるの？言ってよ！」
『だって潤、忙しそうだし……』
「関係ないから！え〜、教えてよ！」
『じゃあ今度から言います』
「うん！なんなら寝落ち電話もするよ？」
『ほんとぉ？』
「うん。寝るまでおしゃべりしようよ。俺もしたいし」
寝落ち電話、おじさんも一回やってみたいじゃん。
多分同年代の彼女だったら絶対しないだろうし。
『ふふ、それは逆にドキドキして寝られないねぇ。私、潤の声大好きだもん』
「へぇ、そうなんだ」
『優しいから好き！全部優しいんだけどね？甘いの』
「初めて言われたぁ(笑)」
『ふふ、あとはねぇ、お仕事頑張ってるところと、真剣な横顔とか、いつも心配してくれるところとか、大事にしてくれてるなーってわかるところとか。ぜーんぶ大好きっ！』
「あー、ダメダメ。可愛すぎて水族館連れて行けなくなっちゃう。俺の家に連れてって閉じ込めたくなるからダメ。好き。可愛い！」
『んっふふふ。潤面白いー！』
2人でいると、甘く、このまま蕩けてしまいそうな雰囲気に包まれるのがわかる。
だからさりげなく、バレないように……
『あ！今撮った！』
「可愛かったもん」
『見せて！』
「やだ(笑)」
俺に手を勢いよく差し出してきて、見せろとちょっと怒るから
スマホをAちゃんに取られないように、背中に隠した。
『何で今撮るのっ？』
「何気ない瞬間も愛おしくて宝物にみたいに、残しておきたいから」
『そんな真面目に言われたら、何にも言えなくなるぅー！』
「マジでどの瞬間も可愛いから大丈夫。ほらそろそろ行こ！暗くなっちゃうし、門限間に合わなくなるよ」
『んぅ！もぉ！』
「あっはっは！」
不貞腐れた彼女のカップも俺のと一緒に片付けて、駐車場まで手を繋いで歩いて、車に乗り込む。
信号で止まるたびに手を繋いで、微笑み合っちゃうからつい……
『運転中！』
「彼女が天使すぎて吸い寄せられるようにキスしたくなっちゃうの。俺のせいじゃない」
頬とか、繋いでるAちゃんの右手の甲とかにしたくなる。
独り占めしてるのに、もっと独り占めしたくて、何回もしたくなる。
だって、いつもふわふわしてて、気が付いたら消えちゃいそうなくらい儚い雰囲気を出す時あるから。
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年12月16日 14時
