お嬢といっしょ【ars/K.N】 (ページ8)

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『ううん。大丈夫です！かずと約束したから。持ってくるって。ね！』

「そうですね」

お嬢が来た道をもう一度見ると、組の若い衆の二人が心配そうに角からこちらを見てた。

まさに“はじめてのおつかい”状態(笑)

俺らが見てるのが向こうにも伝わったのか、一礼するから

こっちも大丈夫だよの代わりに頭を下げた。

この様子だとお嬢には内緒でついてきたらしい。

和母「Aちゃん、ジュース飲んでく？」

『飲みたいっ！……あ、でも寄り道しないで帰って来なさいってママが。だからまた今度でいいです』

和母「ふふ。さっきおばちゃんが聞いたら、和のうちならいいよ、ですって。飲んでいく？」

『飲むっ！ありがとうございます！』

和母「いいえ。どうぞ」

『わーい！おじゃましますっ！ほんとはね、走ったから喉渇いてたぁ！』

母さんの後ろをスキップして入って行くお嬢。

俺もその後について家に入ると、台所から母さんがお嬢にバレないように

ペットボトルのお茶を二本、こっそり俺に渡してきた。

もう一度外に出て、ちょっと厳つめの若い衆に渡す。

＊「和君ありがとー。ごめんね」

＊「お嬢走るからさぁ、疲れたよぉ(笑)」

「お疲れ様でした。今うちでジュース飲んでるので、帰るまでには少し時間がかかるかも知れません」

＊「そう。んじゃここで休憩しとくわ(笑)」

「はい(笑)お疲れ様です」

数分して、お嬢のお帰り。

『ジュースご馳走さまでした！』

和母「いいえ。また来てね？」

『はぁい。和も和のママもAのおうち来てね！』

「行きますね」

和母「気をつけて帰ってね」

『大丈夫！またね！』

また来た時と同じ道を、手を振って帰って行く。

ついこの間まで赤ちゃんだったお嬢の成長に

何だか嬉しいような寂しいような感覚になった。

若い衆たちは、お嬢にバレないように反対側に移動してたらしく

角を曲がったら、俺らに手を振って、また後からついて行っていた(笑)

大変だな、あの人たちも。

でもお嬢と居られるなら、あれはあれで良いのかもしれない。