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「いやー。まだ分かりません。でも組に入って、お嬢をお守りするのも良いなと思います」
若「え、それはあんまりおすすめしないなー(笑)」
本当にそう思ったから言ったのに、若頭の横顔はちょっと渋い。
「どうしてですか？」
若「今のご時世、僕たちみたいなのは昔よりももっと肩身が狭いからね。事業を維持するのも簡単じゃないし、たまに襲われることもあるしね？抗争に巻き込まれて、怪我なんかさせちゃったら、和君のご両親に悪いでしょ」
「僕が大人になっても、抗争に巻き込まれるようなことが、この組でもあるんでしょうか」
若「ないとは言い切れないね。やめたわけじゃないし、こっちからは手を出すなとは言ってあるけど、ほとんど堅気の仕事に就いてる僕らをよく思っていない組があるのは確か。何も悪いことはしてないのに、警察の目を掻い潜ってるってイチャモンつけてね。でもこれからはいろんなことを話し合いで解決したいって僕は思ってる。娘をこんな危ない世界に巻き込みたくないからね」
若頭の言うことはもっともだと思った。
俺だって、お嬢が狙われて怪我なんかしたら、ただじゃおかない。
若「覚えてないかも知れないけど、Aが生まれたばっかりの頃、誘拐されかけたでしょ？あれからちょっとずつ、組内が変わり始めてさ？出来る限り揉め事止めようってなってて」
その頃は子どもすぎて覚えてることは少ないけど、大騒ぎしてたことは覚えてる。
確か、昔から仲の悪い組の若い衆に攫われそうになったんじゃなかったかな。
若「気が気じゃなかったから。自分の命より大事なものがなくなりそうになるってね。だから和君のご両親にもそんなことを味わって欲しくないから、組に入るのはおすすめしないよ」
和「でも、それでも僕がやりたいって言ったら、組に入れてもらえますか？」
若「んー。どうかなぁ。組に入ると面倒なことも多いよ？」
和「分かってます」
表面しか見られないから、細かいことはわからないけど
なかなか引き下がらない俺に若頭は少し諦めた様子。
若「じゃあもしね？高校合格して、大学まで出た時、まだAのことを気に掛けてくれているなら、組に入る？」
和「はい！」
若「でもやっぱりおすすめはしないけどね。もし覚悟があるならご両親とよく話し合ってよ」
和「あぁ、はい」
それから俺は、若頭の言う通り、自分の気持ちが変わるかもしれないとも思った。
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作者名：鈴
| 作成日時：2020年5月31日 10時
