ヒメユリコンペティション【ars/K.N&S.S】 (ページ13)

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和「ピアノ、頑張ってましたもんね。いつも聞こえますよ」

翔「いや、そうじゃなくて。こ飯ですよ、ごーはーん！やっとA先生と行く約束したんですよ！この後！んっふふ」

和「そーですか。それはそれは。良かったですね」

話しを振ってしまった自分に後悔したから、あからさまに棒読みの相槌をするけど

櫻井先生には、俺の面倒くさいという感情はどうでも良いから、ニヤニヤも話しも止まらない。

翔「もうめちゃくちゃ誘いまくってやっとですよ！」

和「A先生のこと、そんなに好きなんですか？(笑)」

もう面倒だから、核心ついて話を進める。

顔に出過ぎてて、触れざるを得ない。

翔「もう、だいす……え？何で？」

和「逆にそれでわからない方がバカです」

翔「じゃあA先生にも俺の気持ち……」

和「それは知らないですけど」

多分A先生はあんたに興味無さそうだけどね。

この前話した限りでは。

だから今日のご飯だって、誘われすぎてA先生が折れた感じが否めない。

翔「うわー！もし知られてたとしたら恥ずかしくないですか？！だっせ！」

持ってた楽譜と教科書で顔を隠したり、仰いだりする。

どっかの下手くそなドラマの演出かよ。

和「楽しそうで何より」

翔「んっふふ、はい！」

ったく、さっきから平和な野郎だな。

こっちはもうすぐ夏休み中の課題作ってて、てんやわんやだってぇのに。

和「その様子だともう夏休みの課題は作り終えたみたいですね？」

翔「えぇ。先週末に。ピアノの練習もしないといけないので」

和「大変ですねぇ」

翔「でもA先生に教えてもらえるので楽しいです！」

和「そりゃ何より」

櫻井先生、どこまでも優等生タイプでムカつくわー。

ご飯、ご飯、ご飯♪

頭の中で良い感じのご飯屋さんをあれこれ思い浮かべて

その後、飲み直すかもしれないから、大人な雰囲気のバーみたいなのも予定に入れて……

えー！どうしよう！

めっちゃ緊張する！(笑)

俺は本番で本領発揮できないことが多いからなー。

ここで失敗すると、次の段階に行く時にまた色々困る。

机を片付けながら色んなパターンとシチュエーションを考えて……。

いざとなると浮かれすぎてしまって、どうしようもなくなるな。

とりあえず無難に個室の店にするか。

あとは、A先生の家の近くか、最寄りの駅の店も候補にしておこう。