ヒメユリコンペティション【ars/K.N&S.S】 (ページ12)

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『今年、ギターがいないんですって。いろいろ声かけてるみたいなんですけど……』

翔「募集の紙、そこら中に貼ってありますよね。見つからないんですか」

『ギター……やってって言われちゃって……断れなくて』

翔「あらー。良いよって言っちゃったんですか？」

『……まだ時間あるから見つからなかったらって』

翔「そうですかぁ。見つかると良いですねぇ」

『ねぇ……はぁぁ～』

いつもニコニコなA先生だけど、珍しくすっげー嫌そう……。

ギターもいいじゃん？

小さい身体にアコギ。

はい、もう可愛い！

『ん！見つかることを願うしかないですね！』

気を取り直して、両手の拳をぐっと強めに握って気合を入れてる。

いちいち可愛い仕草すんなよ。

翔「でもA先生のギターも僕は聞きたいですけどねぇ」

『バンドって、いつの時代も文化祭のキャーキャー要素じゃないですか。私が入ったらその要素が半減です』

翔「まぁ……。でも一緒に楽しめて良いじゃないですか？青春」

『ふふ、味わうには結構リスクありますけどね』

翔「確かに(笑)」

『でも、まずは櫻井先生がうまく弾けることのお手伝いが先ですね』

翔「お願いします」

『いいえ』

翔「A先生？」

『はい？』

翔「ギター、見つかる様に願掛けってことで、今日この後、A先生をご飯に連れて行きたいんですが……ご都合如何ですか？」

『そうですねぇ。行きましょうか』

翔「え？良いんですか？！」

『え？はい。今日は車じゃないので……』

翔「そうなんですね！じゃあ何食べたいですか！？」

『んー。櫻井先生に任せます』

翔「よし！いくつかピックアップしますね！」

『お願いします』

職員室に用事があって歩いてたら、俺の前を

顔を見なくても分かるくらい嬉しそうに歩いてる櫻井先生を発見。

今日のピアノ、うまく出来たのか？

和「櫻井先生？」

翔「はい？」

溶けそうなほど目尻を下げて、浮かれた感じで振り返ってきた。

効果音を付けるとしたら、絶対に

ルン♪

だ。

A先生となんかあったらしい。

和「なんか良いことあったんですか？」

ニヤニヤが止まらない櫻井先生に一応聞いてあげる。

聞いて欲しそうだから(笑)

翔「分かりますー？もうね、やっとですよ、やっと！」

え、こいつ、すっげーめんどくせー。