白椿【ars/S.S】 (ページ38)

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とも《ねぇ、A。もしだよ？今、先輩に会ったらどうする？まだ先輩のこと好き？》

『んー……。人としては好き？かなぁ。でもそれ以下でも以上でもない。恋人同士に戻れるかって言われたら無理。日本に戻る気もないし、もう5年だよ？』

とも《A、先輩と別れてから彼氏いたことないじゃん。まだ好きなんじゃないの？》

『いやいやいや、ないないない。それはない。あ、ごめん。ちょっと友達に声かけられたから、またね？』

とも《ん。ごめんね。じゃあまた》

ともちゃんにそう聞かれて、なんとなく心がチクっとしたから

嘘をついて、電話を切り上げた。

確かに翔さんと別れてからは、いたことないけど……。

実際、時間が経ちすぎて翔さんのことなんて思い出さなくもなってきた。

こっちには嵐の櫻井翔の情報なんて一切入ってこないし

私もわざわざ調べないし、ともちゃんから言われたとしても

そこまで興味がないから分からないけど、私の中で翔さんは、別れた日のままで止まってる。

それでいいと、この先も思ってるし、今は翔さんよりずっとこの生活と仕事を大切にしたいから。

翔さんに会ったとしても、私はきっとなんとも思わない。

それからまた約5年。

Aを想って続けた旅行も、今となっては、ただの自分のリフレッシュに変わりつつあった。

196カ国、人口は76億人いて、その中の一人を探すなんて、ほぼ無理だろ。

分かってたことだけど、あまりに馬鹿な行動すぎて、自分自身呆れたわ。

なので今回は久しぶりの余暇を楽しむためにカンボジア行ってきまーす。

プノンペンとシェムリアップ行きまーす。

楽しみでーす。

そして数時間後、無事にカンボジア到着。

とりあえずホテルにチェックインして、トゥクトゥク乗って、昼過ぎだったから腹ごしらえ。

せっかくだからカンボジア料理を食べたい。

もちろん下調べした人気の店に向かう。

店に着くと人気なのは本当らしく、それなりに混雑していて

案内されると、早速クメール料理と飲み物を頼んだ。

この店は静かな通りに面していて、中は小綺麗で、テラス席もあって

俺は店内だけど、今日は天気がいいから、外も気持ちがいいだろうなぁと思った。

しばらくするとチキンライスと牛肉が葉っぱで巻かれたやつ

レモングラスのカクテルが目の前に並んだ。

写真に収めてから、食べる。

どれもうまくて、大満足だった。