白椿【ars/S.S】 (ページ30)

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何が守るよ？だ、笑わせんなだよ。

結局守ってたつもりだっただけじゃねぇか。

その後もAがされていたことを、聞いてもいないのに教えてくれた。

今更聞いたところでAに何かしてやれるわけじゃないから、胸が張り裂けそうだった。

＊「Aちゃんと全く連絡とってねぇの？」

「……あぁ？んー。番号変えられたし、ともちゃんに聞いても教えてもらえないし、Aの実家の場所は知ってるけど、両親に会ったことはないから聞きに行くわけにもいかねぇし。もちろんマンションも解約してあるから、今どこで何してるのかも分かんねぇ」

＊「そっかー。天下の嵐の櫻井翔でもそこまでされて振られるんだな！(笑)」

冗談交じりでそう言われて笑われてるが、マジで立ち直れてないし

まだ立ち直る気力もないから、この状況が辛すぎ。

辛さを誤魔化すために、強めの酒を自分で煽る。

Aの前ではあまり吸わなかったタバコも、最近はストレスで吸いまくっていたから

Aのことを思うと、簡単に酒に溺れ、灰皿の中のタバコは溢れそうになった。

Aがいなくなった途端、簡単に不摂生な生活を送りはじめた俺は

プライベートでは、テレビ中の嵐の櫻井翔のかけらもなくなった落ちぶれたその辺の男だ。

「てかさ？何で好きなのに別れなきゃなんねーの？」

＊「そりゃお前といるのが疲れたからだろ？嫌がらせされ、前のアパートから引っ越して、ロッカーは凹まされ」

「そうならねぇように注意してたろ？俺。誰だよ、俺の可愛いAに嫌がらせしてた奴は。ここに今すぐ全員連れてこい！」

机に突っ伏して焼酎のグラスを握り、息巻いた。

＊「そんなもん、いすぎるはずだから無理だ(笑)ぜってー店に入りきらねぇよ」

「あーAに会いてぇなぁ。どこにいんのかなぁ……」

＊「会いたくて震えてんのか？天下の嵐の櫻井翔様が(笑)」

「あぁ？震えて悪いか！」

＊「あっはっはっは！世話ねぇな！」

脈絡もなく下世話な話をして、Aへの未練もだだ漏れの想いをぶちまけて

どれくらい飲んでいたんだろう。

そしてなぜ、いつから俺は玄関で寝ている？

飲み過ぎたせいか、一応家には帰ってこられたようだが

どう帰ってきたかの記憶が一切ねぇ。

とりあえず鞄やら、ジャケットのポケットを見る限り、忘れ物や落とし物はなさそう。

服も乱れていない。