後日談 その1 お名前は? ページ45
先程までは向かい合わせで座っていたのだが、彼がお茶を取りに立ったのがきっかけで、2人は隣、肩を寄せあって座っていた。
お互いに多忙。仕事に忙殺される毎日。
何もせず、互いの体温だけ感じられるこの時が心地よかった。
「...そういえば、Aって偽名か?」
「Aの方は本名のままで、苗字は、柊じゃなくて、橘。」
「うん。柊より橘の方が、Aさんっぽい。」
なんじゃそりゃ、思わず笑ってしまう。
確かに柑橘類はすきだけども。
「透さんの本名は?」
「僕は、降谷零。」
「れい、って数字のぜろ、の?」
「そう。」
「将来公安に入るあなたに、その名前をつけるとは...ご両親、先見の明があるのね...」
「はは、どうだったんだろうなあ。」
今まで透さん、と呼んでいたけど、これからは零って呼んだ方がいいのかなあ。
少しの間、沈黙。
「...零くん?」
ふと声に出して呼ぶと、彼がむせた。
「大丈夫?」
「あっ、ああ...驚いただけだ。」
「零?」
ふーん、そっぽ向いちゃって。私ちょっと悲しいよ。
「れーい?」
「いや、すまない...呼ばれ慣れてないんだ。」
よく見ると、耳が赤くなっている。
喫茶店で働いていた時は女の子に慣れている様な感じがしたけど、プライベートではそうでは無いように見える。こっちが素なのかな。
「そういえば、Aさんは何歳なんだ?高校生じゃないんだろう?」
「25歳よ。おばさんでしょ。」
「そんなこと言ったら僕はおじさんだな。」
「? いくつなの?」
「29だ。」
「ヴぇえ゛!!? すみません、年上とは知らず、とんだ失礼を...」
私よりも童顔がいたとは。
「いやいや、気にしないでくれ。別に敬語じゃなくてもいいし。」
「...お互い知らないことだらけだね。」
「何も知らないまま付き合ってしまったな。」
「...零君が、私のどこを好きになったのか分からないけど、それは偽りかもしれないよ?」
らしくもなく不安になってしまう。彼は考え事をしてる様子で、こっちを見てくれない。
「...僕がAさんに優しくしていたのは、安室透として疑われないようにするためだった。実際の僕はそんなに優しくないかもしれない。」
「違う。私...」
確かに、最初は安室透としての優しさに惹かれていたのかもしれない。今は、どこが好きかなんて言えないけど、好きなんだ。
彼は小さく笑って私の頭を撫でた。
「偽りでもいい。これからもっと好きになる。」
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ギャグじゃないぴえん。
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零(プロフ) - ギャグじゃない、ぴえんって、ギャグ大好き過ぎて草ギャグ大好きな人、好きです← (2020年5月8日 4時) (レス) id: 65b70f381b (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - アオさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。ご心配ありがとうございます。作者、生きてます。更新したのでよかったらまた読んでやってくださいませ。 (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - のんのんさん» お返事が遅くなって申し訳ありません。応援ありがとうございます!中々亀さん更新になってしまうのですが...頑張ります!! (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
アオ - はじめまして。この作品暫く更新されていませんが、大丈夫ですか? (2018年5月5日 20時) (レス) id: e874f23264 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - すごくいい話ですね! 応援してます! 更新頑張ってください!! (2017年5月7日 17時) (レス) id: 925f4d298b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ x他1人 | 作成日時:2016年5月5日 17時