39 選択肢 安室side ページ41
「この子、私が預かるわ。」
口元に僅かに笑みを浮かべながらベルモットが言った。
「へ?」
「は?」
「あなたは今見たもの、これから見るものを誰にも言わない。簡単な仕事をすればOK...どう?できる?」
「この子は関係ないでしょう!?」
「それを見られたのにタダで帰すつもり?」
それとは俺が持っていた拳銃のことだろう。
くそ、あの時制圧しきれていれば、Aさんを巻き込まずに済んだのに、自分の詰めの甘さに腹が立つ。
不安そうな目で俺を見るAさん。申し訳なさで、目が合わせられない。
「ぐっ...」
Aさんが倒した男が呻き声をあげた。そろそろ意識を取り戻すかもしれない。
彼女の動きはとても素人のものとは思えなかった。何か格闘技でもやっているのだろうか。
「Kitty、あなたにある選択肢は2つ。私達の仲間になるか、死よ。」
タイムリミットは今日の夜までよ、と紙切れをAさんに渡している。どちらも選ばせるものか。
「いい返事を待ってるわ。」
ベルモットが去ってゆく。
完全に視界から外れたあと、この男を処理するべく、風見に電話をかけた。
Aさんはずっと俯いている。
「すまない、Aさん...こんな事態になってしまって...」
「いえ、大丈夫です...。
私、あの人のところに行きます。」
俯いてはいるものの瞳は真っ直ぐで、拳を握り締めている。怖くはないのだろうか...いや、怖いはずだ。握りしめた拳が僅かに震えている。怖い以上に、彼女は強いんだ。
「Aさん、大丈夫。そんなことにはさせない。
...着いてきてくれるかい?」
「おじゃましまーす...」
現場に風見が到着した後、車にAさんを乗せ、着いたのは自宅。
「適当に座って」
向かい合わせに座る。これからの事を話さなければならない。公安のことを話す訳にはいかないから...さて、どうしたものか。
「君は逃げるんだ。」
「...でも、選択肢は仲間に入るか死ぬかって...」
「信頼出来る部下に託す。ほとぼりが冷めるまでは偽名を使ったり、家を替えてもらうことにはなるが...それも全てこちらで用意する。」
「もし、私が逃げたってあの人にバレたら、透さんが大変なことになるんじゃ...」
「...僕のことは心配しなくていい。」
俺のせいでこんなことになったんだから、Aさんが気にすることはない。だが、この事が組織にバレたら俺の信用は失墜する。あの女を口止めしなければならない。
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零(プロフ) - ギャグじゃない、ぴえんって、ギャグ大好き過ぎて草ギャグ大好きな人、好きです← (2020年5月8日 4時) (レス) id: 65b70f381b (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - アオさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。ご心配ありがとうございます。作者、生きてます。更新したのでよかったらまた読んでやってくださいませ。 (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - のんのんさん» お返事が遅くなって申し訳ありません。応援ありがとうございます!中々亀さん更新になってしまうのですが...頑張ります!! (2019年8月8日 22時) (レス) id: 0b29ddadeb (このIDを非表示/違反報告)
アオ - はじめまして。この作品暫く更新されていませんが、大丈夫ですか? (2018年5月5日 20時) (レス) id: e874f23264 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - すごくいい話ですね! 応援してます! 更新頑張ってください!! (2017年5月7日 17時) (レス) id: 925f4d298b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ x他1人 | 作成日時:2016年5月5日 17時