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緋山side



黒田先生の手術が始まって数時間がたった時だった。



「あっ…白石は…?」



藤川が小さくそう訊いた。



「…脱水症状が酷い。外来のベットで点滴してる。」



「そう…」



藤川はまた黙った。



時間の流がとてつもなく遅く感じる。



藤川…いつもみたいに喋ってよ…



でも…そんなの無理だよね…こんな時に…



「そういえば…青井はどこ行ったんだ?」



「え?でも…言われてみれば。」



エレベーターの所で別れてから青井の姿を見ていない。



「どっかで…倒れてたりしないよな…?アイツ…最後に見たとき、顔、真っ青だった。」



青井がそうなるのも無理がないと思う。



黒田先生は青井にとって指導医であり命の恩人。



その人の腕を切り落としたんだ。



「青井は優しすぎるのよ。ここにいる誰よりも。ここにいる誰よりも人を失う辛さを知っている。」


藍沢だってそうかも知れないが、青井はそれが表に出る。



「今は…そっとしておこう。きっと、倒れてたりはしないわよ。」



そうは言ったものの…



ストレスは喘息に良くない。



少し…心配だな…



医局には時計の針の音が響いた。









 









 









Aside



何時間がたっただろう…



屋上で風に当たっていた。



指先はもう氷だ。



日だって傾きかけている。



「A。」



振り向けば耕ちゃんがいた。



「黒田先生の手術は無事に終わった。」



「…うん。」



「…でも…前のようにメスを握る事は殆どないだろう。」



「…うん。」



自然と何も思わなかった。



悲しいとも…悔しいとも…



何の感情もなかった。



「白石先生は…?」



「外来で点滴を受けているそうだ。脱水症状が酷いらしい。」




「そう…」



これに関しても何の感情もなかった。



「ごめん。せっかく迎えに来てくれたけど…もう少し一人にさせて…」



なんにも思わないのに…



一人で居てたい…



「分かった。これ、着とけよ。」



と上着を投げてきた。



耕ちゃんは屋上を出ていって私は上着を着た。



どこか安心する匂いで自然と涙が出てきた。

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本ニャン(プロフ) - シロップさん» 物語の中身としてはあまり気にせず思いきって書くことがポイントです!気にしすぎるとかえって書きたい事が書けませんからね。あとは他の作品を読んでいいと思った事はどんどん真似しましょう!たくさん書くことが一番良いです!参考にしてもらえたら嬉しいです(*^^*)っ (2018年7月14日 18時) (レス) id: 5208eaeae5 (このIDを非表示/違反報告)
シロップ(プロフ) - 本ニャンさん» 作品を書く時のコツとポイントを教えてくださいませんか? (2018年7月14日 8時) (レス) id: a9e4616003 (このIDを非表示/違反報告)
本ニャン(プロフ) - ルビーさん» はい!何時でもコメントしてくださいね!応援してます! (2018年6月15日 23時) (レス) id: 5208eaeae5 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー(プロフ) - いえ!またアドバイスしてもらってもよろしいでしょうか? (2018年6月15日 23時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
本ニャン(プロフ) - ルビーさん» そう簡単な事ではないですが、勇気を出すことも大切だと思います!違反を受けてしまった場合は素直に削除するしかありませんけどね。この拙い言葉でルビーさんが勇気を出してくれれば私は嬉しいです!生意気ですみませんm(__)m (2018年6月15日 22時) (レス) id: 5208eaeae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:本ニャン | 作成日時:2018年5月11日 7時

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