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3.惨めな選択 ページ3






『……本当にするの?』










「ま、そう言うやろな」










想定内といった様子で


くつろぎだす治とは正反対に、


私は正座をして考えを巡らせていた。










「迷うくらいならあの話もやめといたらどうや。


後戻りできへんねんで。」










『それは……』











私がちょっとした出来心で出した


あの時の答えに、


正解なんてないのかもしれない。




それでも、


頑張って背伸びをしたくて、


心の奥底にある寂しさを


何かの形で埋めたくて、


少しでもあの人に近づきたくて、


そんな自分の欲から


治の気持ちを利用した


自分の選択に嫌気が差した。










-----------------------------










「俺はツムの代わりでもええよ、

それでAの気持ちが変われへんかっても、な」









私はこのとき治の言っていることが


簡単に理解出来てしまったことが悔しかった。


だから、少し馬鹿なフリを


してみたかったんだと思う。










『それ、どういう意味?』










予想外の返答だったのか、


目を丸くした治がこちらを見ていた。


すぐにいつもの表情に戻り、


落ち着いた様子で話し出す。










「Aの片思いが終わるまで


俺がツムの代わりしたるよってこと」










自分が思っていた事と


一言一句変わらず返ってきたその言葉に、


私は唾を飲み込む。


なんて言葉を、そして答えを


出すべきか迷っていた。










『……治のこと一回も、


ほんのちょっとも、


好きにならないかもしれないんだよ?』










多分、今の声震えてる。










「断言せえへんなら可能性はあるんやろ。


それだけで十分やな俺は。」











そんな真っ直ぐな目で言わないでよ…。


自分が醜くて仕方なかったけど、


同時に傲慢な私は、


治の傍にいたいと思ってしまった。











『…私、治が思ってるより


相当面倒臭いからね。』











呆れたような顔で微笑んでくる治に


妙な心地良さを感じてしまう。











「ほな、約束のその時まで」



「俺とAは今日から恋人やな」












夕日が沈みきる前に


私たちは固く指切りを交わした。





4.引き返せないから→←2.好きと理由



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設定タグ:ハイキュー , 宮治 , 宮侑   
作品ジャンル:恋愛
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夜行生物31号(プロフ) - もちふわぱんさん» もちふわぱんさんコメント有難うございます😳❤️楽しく読んで頂けたこと本当に嬉しいです!次の作品も待っていて下さい💪 (2月26日 11時) (レス) id: f3e03ec248 (このIDを非表示/違反報告)
もちふわぱん(プロフ) - 初コメ失礼します!!初作品と思えないほど最後まで楽しく読ませて頂きました!!次回作も楽しみにしています✨ (2月26日 11時) (レス) id: 1af9f1fe5d (このIDを非表示/違反報告)
夜行生物31号(プロフ) - ひさめさん» ひさめさん嬉しいお言葉有難うございます🥲❤️まだまだな未熟者ですが頑張ってこの作品を育てたいと思います‪🌱‬ (1月23日 21時) (レス) id: f3e03ec248 (このIDを非表示/違反報告)
ひさめ(プロフ) - わわ!どタイプすぎる作品!私も作品描いてるんですけどあまり納得いかなくて💦すごい好きです!応援してます! (1月23日 20時) (レス) @page3 id: c715c6d477 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜行生物31号 | 作成日時:2025年1月23日 1時

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