ネジ12つ ページ13
一方博士宅では。
「良い?お姉さんには突然ぐいぐいいっちゃ絶対にダメ。まずは適切な距離を保って会話、近づいたり触ったりはそれに慣れてから!分かってるわね?」
灰原はAの座っているソファーから少し離れたところで念入りに確認をとる。
少年探偵団3人はえー!と口をとがらせた。
「でもよー、あのねーちゃんが小学生を怖がるのって虫を渡されたからなんだろ?俺達はそんなことしねーよ!」
「そうだよー!歩美達お利口さんだもん!」
「そんな博士みたいな寒いギャグを言う人と一緒にしないでほしいですね!」
灰原はこうなると思った、と言いたげにため息をつく。
「あなた達がそんな事しないのは分かってるわ…でもね、トラウマにそれは関係ないの。お姉さんが大好きで早くくっついて遊びたいのは分かるけど、彼女を怖がらせたくはないでしょう?」
灰原に諭され、3人はしぶしぶ了承した。
Aと机をはさんで対面する形で探偵団全員が座る。元から座っていた博士は退かされた。
「じっ、自己紹介からですよね!僕光彦っていいます!」
「私は歩美!」
「俺は元太!」
頬を染めてやや前のめりになる3人。極僅かに顔を青くしてやや後方に身を引くA。
ストッパー灰原は3人にあまり身を乗り出さないようにと目で伝えてから、Aのほうに向き直り微笑んだ。
「私は灰原哀。よろしくね」
「…Aです」
Aはゆっくり身体を戻した。
「僕達、初めてAお姉さんを見た時からずっと気になってたんです!」
「こうやってお話したいなって思ってたの!」
「なのによー、いっつも安室の兄ちゃんが独り占めしてたからよ…」
一世一代の告白をしたような光彦、恋する乙女のような歩美、拗ねたような元太の顔をそれぞれ見て、Aはぽかんと口を開けた。
「……何故?」
その存在すらも今初めて認識したような知らない子供達は、無邪気に笑って口を揃える。
「すきだから!」
……言葉がでない。
「…すき?」
子供は言い切る。
「はい!大好きです!」
それは何故、と聞く余地も無いような満面の笑みが3つ。
仕方なくAは口を閉じた。
「信じられないかもしれないけど、本当よ。私達もあの喫茶店によく行くから」
「それにのぉ、コナンくんもよく話してくれるんじゃよ」
「そうそう!コナンくんが1番お姉さんを好きだよね!」
「俺達も負けてねーけどな!」
ただコーヒーの香りを楽しんでいただけだが一体何故そう思われたのか。謎だ。
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Mito - すごくいい作品ですね 私はこの作品が大好きですよ (2021年3月28日 23時) (レス) id: 121f4f7b22 (このIDを非表示/違反報告)
水落(プロフ) - コメントありがとうございます!色々読んで頂けているようで、ありがたい限りです!(まさかほろにがクラゲさんからコメントを頂けるとは思っておりませんでした、光栄です!こちらこそ応援してます!) (2019年12月6日 14時) (レス) id: 1398ffddc4 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - はちゃめちゃに名作でした…おかしいな、と思ったことをそのまま世界観にしてしまう発想が素敵・:*+.\(( °∀° ))/.:+連載中の他作品も読んでます、いつも細部の凝り方がすさまじいなと圧倒されます……これからも応援してますね!! (2019年12月5日 18時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
水落(プロフ) - シンアさん» 最後まで応援ありがとうございました!これからもお楽しみいただける作品を作れるよう頑張ります! (2019年4月22日 21時) (レス) id: 1398ffddc4 (このIDを非表示/違反報告)
シンア - 完結おめでとうございます。お疲れ様でした…。また作品楽しみに待っています。 (2019年4月22日 17時) (レス) id: f6e4c29514 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水落 | 作成日時:2018年11月3日 18時