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目まぐるしく世界が変わったのは
理解が追いつかないほどに
一瞬の出来事だった。
「少し雨宿りしよ」
その日はバケツをひっくり返したような大雨で
傘を差しても意味がないほどだった
突然、道の途中で足を止めた紫耀に
ついていくまま路地裏のホテルに入った。
こんな日で、びっしょり濡れてるのに
そういうホテルだからか、
受付の人は知らん顔で鍵を渡してくる
薄暗い廊下を進んで部屋に入ると
部屋の内装に驚く余裕もなく
「風邪引くから」と浴室に押し込まれた
何でこうなった?
目の前には素知らぬ顔で
服を脱ぐ紫耀がいて
俺にも脱ぐように言ってくる
どうせ何も起きないし、
紫耀が俺を相手にするわけがない。
そう腹を括って服を脱いで
紫耀がお湯を溜めてくれてる
湯船の中に向かい合うように入った
溜まっていくお湯で
冷えた体が温まっていくから
心地良さの中にいると
「廉は細すぎるよ」
紫耀の手が、腰に触れる。
思わず身じろいで見上げると
真っ直ぐに見つめてくる紫耀がいて
重なった視線を逸らせないまま
唇に温もりを感じた。
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作者名:3 | 作成日時:2022年7月18日 20時