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*
「えーっと、じゃあ吉原遊郭って知ってるかしら」
「……男性が一夜の夢を見る場所、ですよね」
「ええ、そうね。夢現の街」
そこで小夜さんは1度茶を口に含んだ。私も雰囲気を察して心の準備をする。
「陰間茶屋は、簡単に言うとその男性版、のような感じね。此処は陰間茶屋よ」
一瞬思考が止まる。それを無理やり動かして必死に言葉を噛み砕いていく。
「……えっと、その客って女性ですか」
「残念なことに、男性もいるわ」
「うわぁ……」
思わず零れ出た声にハッと口を塞ぐ。ところが聞こえていたようでくすりと笑われた。ちょっと恥ずかしい。
「まあ、此処はそんな所よ。提供する人が男性、というのが唯一の吉原との違いね」
「理解、は出来ました」
うん、……うん。受け入れるのはもう少し時間がかかるけど、とりあえず知識としては理解出来た。うん。
「では、あと一つ。私を、どこで拾ったのですか？」
「うちにいる使用人の一人が川に行った時にね、Aが川辺の岩に打ち上げられているのをみつけたの。血塗れで命も危うかったのよ〜？」
「そうなんですか……」
じゃあ、あの時に流されていたのは川だったのか。冷たい、早い、苦しい、としか覚えていない。
「じゃあ次は、私が色々聞いてもいい？」
「はい、小夜さん。できる限り答えます」
「えっと、何でAは川を流れていたの？」
川に溺れる前を思い出そうとする。けれど、どんなにどんなに記憶を遡っても、流れていた時の記憶から前のものを思い出せなかった。
「……すみません、分かりません」
「分からない、というと？」
「記憶喪失、って言うんですかね。川より前のことが思い出せないんです」
知識だとか、そういったものはやたらと覚えているのに。必要なものを思い出せない。
「そっか。……あと、前まで何処に住んでいたのか聞くつもりだったのだけれど……」
「それもごめんなさい、わからないです」
「そうみたいね。さっきの会話でご飯がこれより粗末と言っていたから、貧困層なのかしら」
「多分そうなんですけど、昔たくさん本を読んでいたか学を受けていたみたいで、多少の知識はあるんです」
「……上手く噛み合わないわね。貧困層がわざわざ学ぶとは考えにくいから」
一度沈黙が訪れる。自分のことなのに全くわからなくて、小夜さんに沢山お世話になったのにそれを返せなくてやるせない気持ちになる。
……どうにか、この恩を返す方法はないのだろうか。
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響 - めちゃめちゃ好きです！よかったら続きお願いします✨ (2022年5月23日 21時) (
レス) id: c19490a4d5 (このIDを非表示/違反報告)
甘党ミカン - 4人とのやり取りにニヤニヤしてました((どうでもいいかもですけど笑ってるけど目元が笑ってない怒り方ってなんか怖いですよね(自分だけかも)最近､花魁等にはまってるのでこういう作品をありがとうございます(*´▽｀*)更新頑張って下さい! (2020年9月25日 2時) (レス) id: 8dcda58632 (このIDを非表示/違反報告)
絵怜音(プロフ) - のこさん» コメントありがとうございます！いやいや、私も書きながらニヤニヤしてるので！いや寧ろ、カオナシみたいに語彙をなくしているので！多分私の方が気持ち悪い……です！のこさんこそ、コロナにお気を付けてくださいね。コメントありがとうございました！ (2020年5月13日 6時) (レス) id: d5db198697 (このIDを非表示/違反報告)
のこ - 更新お疲れ様です！とても面白かったです！！urtさんサイド最高です！一人で2828してました！！(キモいですよね…)更新頑張ってください！コロナウィルスにも気おつけてくださいね。コメント失礼しました！ (2020年5月11日 21時) (レス) id: e0ede7313f (このIDを非表示/違反報告)
絵怜音(プロフ) - ゆりま(ゆきな)さん» コメントありがとうございます！花や、花良いですよねー！私も好きです！面白かったですか！嬉しいです！更新頑張ります！ (2020年5月9日 9時) (レス) id: d5db198697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵怜音 | 作成日時：2020年4月4日 18時
