ドSカップル【うらたぬき】

＊ ページ45

時を少し遡って、しませんの2人に海に誘われた直後。


「ところでAちゃん、水着あるん？」

「へ、あ、いやないので今度通販で買おうと」

「じゃあ2人で選んだろか？」


……はい？


おーいいね、なんて賛同するセンラさん。え、え？

……え？


「水着を選ぶとは……？」

「やっぱうらたんも男やからな、好きそうなやつ選んであげよーかな、て」

「まあAちゃんは大船に乗った気分でおってよ」

「そーそー、ふんぞり返って待っとって」


手元にあったスマホを取り上げられ2人で覗き込んでいる。……これは大変なことになってしまった。


「んー、これとか？」

「あっはぁ志麻くんそれやばすぎやろ！」

「えーけど良くない？」

「そら志麻くんの好みでしょ、それよりこっちのほうが……」

「あー、確かに好きそうやわ」


せめて一緒に見てやばいやつを阻止したいのに隠されて見えない。えげつないやつ選ばれそう。


見たいのに見れないという地獄のような時間がおよそ10分程。


「……ん、これにしよ！多分気に入るでしょ」

「えと、もう平気ですか……？」

「うん！これ！」


そう言って差し出されたスマホの画面には……


「っこれ露出やばいじゃないですか！！」

「男なんて結局そんなもんよ」

「知らないですわたし泳げるパーカーみたいなのにしようとしてたのに……」

「もう注文しちゃった♡」

「わたると同レベルの鬼畜だあああぁぁぁ」


ひどい、ひどい……わたし露出していい人類じゃないのに……わたるに鼻で笑われそう……


「ね、お願い。俺もこれ着てるの見てみたいしこのお金払うから、ね？」

「きっっっっっしょ」

「最近自分の身の振り方わかってきてませんか志麻さん可愛すぎて頭ショートしてますが」


センラさんの毒舌ツッコミはともかく、最近志麻さんは自分の可愛さを理解してる気がする。事実だから構わないけど。


「……じゃあ、着てくれるの？」

「……その上に泳げるパーカー来ますからね！」

「やった！」




***


「……っていうことがありまして」

「いやまーしぃきっしょ！！」


96猫さんが一刀両断。否定はできない。


「てなわけでこんなやつを着ることに……ま、絶対パーカー脱ぎませんけどね！！」

「……がんば〜」


96猫さんに苦笑いの応援を貰った。それだけで1週間生き抜けます。

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