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わたるの部屋のドアを開けると、幼げな顔がスマホのあかりに照らされているのが見えた。まったく、あれのせいでここまで来てんだから。
近くまでぺたぺたと寄っていく。わたるの手の中にあるスマホの電源を切ってしまえばそれで任務完了だった。
さて帰るか、となんとなくわたるを見下ろす。
「……いたずらしちゃえ」
目も冴えたし遊んだ方が得でしょ。どうせなら。
手始めに髪をいじる。流れに沿って手ぐしで梳いていく。わたるは全く動かなかった。……え、生きてるよね?
口元に手を当てると息が当たって一安心。
そのまま唇をぷにっと触った。小さく唸ったけど起きないから続ける。と、手を掴まれた。
「あ、おきた」
「……なに、これ」
ばりばり寝起きで全く理解できてないみたい。ぼーっと私の目をただ見つめている。
「……え、なに、ほんと。……よばい?」
「フラグ回収お疲れ様でした」
はあ?と吐息たっぷりにいわれる。わたるからしたら訳分からんよな。
「……おいで」
ばさり、と布団を上にあげた。断る理由もないから素直に入る。あったかぬくぬく。
「つめた、なにしてたの」
「窓開けて外見た」
「ばかじゃないの」
とろんとした目で罵倒された。夜更けでもその毒舌は健在なのね。
「さみしくなったの?」
「いやちがうし、あの」
「わかったわかった」
ふふ、と笑って言葉を遮られた。なんかわたるめっちゃ優しいな。調子狂うわ。
「きょうはもうおねんね。はい、おやすみー」
「わたしのこと何歳児だと思ってる?」
「5歳児」
「ひどい」
ぎゅー、と抱きしめられる。なんだこいつ。
……けど、あったかい。
今なら寝れそう、とそっと目をつぶった。ネタばらしは明日でいいよね。
**
「……A?」
朝、わたるの声で目覚める。目を開けると、まだ眠そうな顔が見えた。
「おはよ」
「……はよ。え、なんでいるの」
「夜這いしました」
「え、記憶ない」
冗談だわバカ。
……あ、そうだ、ネタばらししよっと。
「Twitter見てみて」
「なに、怖いんだけど」
スマホを手に取ったのをぼーっと見つめた。
「……え、なにこれ」
「わたるの寝相が奇跡を起こした」
「俺天才じゃん」
ほんとね。やまだぬきちゃんなのが救いだった。
「ちょっとおはツイで謝るわ」
「がんば。……わたるありがと」
「何故に」
「挨拶大事」
「確かに。ありがとう」
「うん」
たまにはゆったりと。
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絵怜音(プロフ) - 亀さんさん» コメントありがとうございます!お、たすくさん!亀さんになってもよろしくです!リクエストありがとうございました!楽しく書かせて頂きました! (2020年3月20日 12時) (レス) id: d5db198697 (このIDを非表示/違反報告)
亀さん - あ。間違えた。お久しぶりです!!!もと翼。ーたすくーです! (2020年3月20日 12時) (レス) id: 1af3b4280f (このIDを非表示/違反報告)
亀さん - え。死んだ。リクエスト書いてくださってる……! (2020年3月20日 11時) (レス) id: 99a2eebfea (このIDを非表示/違反報告)
絵怜音(プロフ) - 彩華 ぴあのさん» コメント&リクエストありがとうございます!ナンパの人、懐かしいですよねw笑って頂けて嬉しいです。リクエスト了解致しました!ぜひ書かせて頂きます! (2020年3月20日 8時) (レス) id: d5db198697 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 ぴあの(プロフ) - ナンパの人ので吹きました(笑)超懐かしい……もうあったらすみません。リクエストで女の子の日のエピソードを……お願い出来ませんか? (2020年3月19日 22時) (レス) id: 4d63d0190f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵怜音 | 作成日時:2020年2月7日 22時