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今日も慌ただしい1日が終わろうとしていた。アヴィディアの森のパトロール、迷子になったと言う方向音痴な商人の保護と案内、投棄されたゴミの片付け、そして死域の処理。日誌と共に、日課となっている個人的な日記を書き終えて封筒と便箋、それからコレイにもらった手紙を机に広げる。
字の読み書きを勉強するコレイと定期的に手紙を交換するようになった。お互いのことを知るため、コレイの勉強のため、もうそれなりに続いているこの文通は最近の楽しみのひとつになっていた。
「っ、ん〜……っ、だめだな…」
凝り固まる体をぐっと伸ばすと、背中を中心に酷い痛みが走る。手紙は明日の朝にして、ひとまず具合を確認しようと入り口をカーテンで仕切り服を脱いで行く。鏡の前で背中を確認すると、大きな痣が出来上がってしまっていた。
かなりの力で打ち付けられたから仕方ないか、と小さくため息をつくと入り口のカーテンが揺れた。咄嗟に胸元を隠すと大きな耳が見える。
「A、まだ起きて、る……」
「ご、ごめ、服着るから…!」
「A。」
一瞬固まったものの、中へ入ってくるなりカーテンをしっかりと閉め直して私の方へとズカズカ歩いてくるティナリから距離を取るように後退りをする。とは言え、背後はすでに鏡がありそこまで距離は取れなかった。
「ベッド座って、背中はこっちにね。」
有無を言わせない雰囲気に小さく頷いて言われた通りにベッドに座る。背後から服の擦れる音が聞こえた、ティナリは私の怪我の具合を見ているらしい。
終わるのを待っていると突然全身にぞわりとした感覚が走り体が跳ねてしまう。背中を指先がなぞった。
「ひ、ぁ…!っ、ティナリ!突然触らないで!」
「はぁ…少し無防備すぎるよA。それから、いつも言ってるだろう?無理はしないってさ、なんで言わなかったの?」
淡々と聞いてくるティナリから思わず視線を逸らしてしまうと、彼は小さくため息を漏らした。
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はくあ - アッアルベドお兄ちゃん...リクエストいいですか... (2023年2月1日 20時) (レス) @page27 id: 3df7a9e742 (このIDを非表示/違反報告)
せぱらんとすぱごん(プロフ) - リクエスト応えてくださり本当にありがとうございます…!!通知来た瞬間嬉しくなりましたwまんまアルハイゼンでほんと…すごいです…() (2023年1月27日 15時) (レス) @page18 id: e5b6d94770 (このIDを非表示/違反報告)
こころ - 遅くなってすみません!リクエスト応えてくれてありがとうございます!凄いです… (2022年9月21日 16時) (レス) @page8 id: fa05d75225 (このIDを非表示/違反報告)
ねこねこみこみこ - ぬわぁぁぁぁぁ!!なんなんだこの作者様の最高なティナリは!?私はこれと同じ、、いやッッこれ以上なティナリを見たことが無いッッッッ!作者様!最高ですぞ!! (2022年9月14日 18時) (レス) @page5 id: 615e2dc66e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん - コメント失礼します。ティナリ様作者様様です、、、しっかり意識させる男(?)で笑ってしまいました最高です!!!!アルハイゼン楽しみですぐふふ🤤 (2022年9月8日 0時) (レス) @page5 id: 079c11adfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりふき | 作成日時:2022年8月27日 18時