【忍たま】スノードロップ (ページ38)

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38話ページ38

「…作兵衛たちがAさんのこと、話してましたよ」

1番後ろでみんなについて行く私の顔を見ることなく、藤内が声を発する。

「特に妖術にかかった感じでもなかったしAさんのことは信じていいかなって…」

話を聞くに、3年生だけで集まって話し合っていたらしい。

「その気持ちは嬉しいけど百聞は一見にしかずでしょ？」

「本当に天女だったら自らそんなこと言いませんよ」

ふふっと笑われた。

…でも目的は私を信じてもらうことじゃないんだよなぁ。

「私を信じる前に先輩のこと信じた方がいいのに…」

私の声は藤内だけでなく、前にいた1年生2人の所にも届いていたみたいで。

「僕達だって信じたくない訳じゃないんです」

少しの間立ち止まって、仙蔵と喜八郎から距離をとった兵太夫が前を行く2人の後ろ姿を見つめて呟いた。

やっぱり、元々仲のいい人達だから元に戻りたい気持ちは同じなんだろう。

「また裏切られるのが怖い？」

そう聞くとギュッと拳を握った1年生。

1度知ってしまった温もりを失った時の辛さが私にはまだ分からない。

でも、これは…

「天女が来た後、先輩たちは3人に何か言った？」

「ただひたすら謝られて…後は今みたいにすごく気を使われているというか。」

藤内が寂しそうな顔を見せた瞬間

私は走り出していた。