お菓子は皆を笑顔にする魔法。【 夢色パティシエール】

▼sweet.020 ページ21

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影が見えるとともに顔を上げると、私を見下げる樫野がいた。



「お前なあ、パティシエール目指してるくせに授業の正座でへこたれてるなんてまだまだだな」
『まだまだってー、私がどれだけ苦労してこの1時間を耐えたと思ってるの？！1時間よ？！1時間！！』
「そんなの適度に休憩取ればいいだけじゃねえか。変なところで真面目だよな、佐原って」




馬鹿にされているのは言葉から分かるけれど、樫野に言われたことによってより怒りが湧いてくるのを感じる。見てるだけじゃなくて、立つのを手伝ってくれたって良いじゃない！と思いながらもそれを口に出すことは出来ない。



『そーですよーだ。私は樫野みたいに頭が良いわけじゃなく、こーゆー時にしか真面目になれない奴ですよ...』
「べ、別にそう言ってる訳じゃねぇよ」



わざと落ち込んだ雰囲気を出すと、頭をかいてほんの少しだけ困った顔をする樫野。そんな樫野に私は、



『じゃあ、これから樫野は私にどうしてくれるわけ？樫野の大事なだーいじなチームメイトに』



そうニヤッと笑って挑発した。



「ほらよ。"大事"なチームメイトの手助けをすればいいんだろ？」
『大正解っ！』
「！っ...次の授業遅れるから行くぞ」




手を私の方に差し出してくる樫野の手を、思いっ切り強く握って立ち上がり、私達は次の授業の教室へ向かった。


いつも私と樫野は口喧嘩ばっかりしてる。本気で怒ってるわけではないけれど、なんだかいつも反抗しちゃって。でも、樫野のこうゆう優しい部分も知ってるから本気で樫野のこと怒ったり嫌いになったり出来ないんだろうなって最近分かってきた。





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