お菓子は皆を笑顔にする魔法。【 夢色パティシエール】

▼sweet.010 ページ11

▼Ichigo side





あたしが挨拶をすると、クラス中の人が私の方へ目を向けてきた。恥ずかしいー！！と、身体が段々火照ってくると、前の方の席に立っていた女の子3人組が私の近くまでやって来た。



「ねえねえ天野さん、どうしてあの4人と一緒に来たの？」
「え、廊下で会ったから...」



「それ、花房くんの飴細工に佐原さんが作ったスノーボールよねー。貰ったの？いいなー！！」
「スイーツ王子と高嶺の花にエスコートされるなんて羨ましい！！」



スイーツ王子と高嶺の花？
転校してきたばかりの私には分からず困っていると、女の子たちが紹介してくれた。


まず、華麗なケーキを作る花房五月くん。チョコ系が得意な樫野真くん。和風な作風の安藤千乃介くん。そして、どんなケーキでも作れちゃうオールラウンダーな佐原Aちゃん。ルックスも良い上に成績はいつもトップクラス、クラスで1番であるAグループに所属しているらしい。

確かに、あたしがさっき貰った薔薇の飴細工や3色のスノーボールは見た目も綺麗でとても美味しそうに見えた。それに、あんな凄いチョコレート細工や頬までとろけちゃいそうな抹茶キャラメルまで作れちゃうんだもん。そりゃあ、有名人だよね...。

少し感動していると、今までスイーツ王子の3人と話していたAちゃんがこちらにやって来た。



『いちごちゃん、もうそろそろ授業が始まっちゃうから一緒に行こう？次はケーキ作りの実習だから迷子にならないよう私が案内するね』



説明をしてくれた女の子達にありがとうと行ってAちゃんの後を追う。あの説明を聞いてからだと、なんだかAちゃんが遠い存在に見えて仕方がない。

でも、転入早々にケーキ作りの実習があるとは知らなかったために、ケーキ作りのど素人であるあたしは先程よりさらに不安が募ってまた心臓がバクバクとなり始めるのだった。




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