彼 女 の 将 来 。 ページ11
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受験も終わり、ほっとした1月の後半。
俺は名古屋駅にいた。
みんなには内緒で彼女と会う約束をして。
「あ、としみつくんっ!」
斜め右方向から大きな声で人混みに埋もれながらぴょんぴょんと飛び跳ねて、俺の名前を呼ぶAちゃん。
近くに来た時に腕を引いて助けてやると勢いが良すぎたのか俺の胸に飛び込んでくる感じになってしまう。
と「あ、え、あの…!わりぃ…!そうゆうつもりじゃ…っ!」
「ふふ、分かってるよ?笑」
慌てふためく俺を見て面白かったのか、お腹を抱えて笑う彼女。
彼女と会うのは約2ヶ月ぶり。
「日帰りだから夕方くらいまでしかおれんけど会えるかや?」彼女からそう連絡が来たのは2週間ほど前、受験を目前に控えてた俺は俄然やる気が出たのを覚えてる。
約束を覚えとってくれたことも、Aちゃんから会おうって言ってくれたことも全部が嬉しかった。
「久しぶりだね!」と俺の隣を嬉しそうにうきうきと歩く彼女を見てるとなんだか俺まで嬉しくなってくる。
とは言っても俺らには時間がない。
近くのカフェに入って終わったばかりの彼女の受験の手応えを聞いたり、お互いの近況報告をしたりしてるとあっとゆう間に時間は過ぎる。
特に彼女と過ごす時間は、いつもの数倍早く感じた。
名古屋駅の改札へ彼女と向かい、改札近くで彼女が立ち止まる。
「今日はありがと、久しぶり楽しい時間が過ごせました〜。笑」
と「俺も楽しかった…!受験の結果、また教えあおうな…!」
彼女が乗る電車の前まで送り届ける。
電車に乗り込む前に彼女が鞄から取り出したのは見覚えのあるカメラ。
前触れもなくパシャっと音を立てて撮る彼女。
と「カメラ構えてんの、久々に見たかも。笑」
「受験生だし控えなさいって言われてたからね…。笑」
と「まだ、認めてもらえんの…?」
こくんと首を縦に動かし頷く彼女。
彼女は将来カメラに関わる仕事をしたいとゆう願望を持ち、大学ではなく専門学校を受験した。
その事でお母さんとはひどく揉めたらしく、今もそれは解決していないらしい。
「まぁ、なんて言われても私の気持ちは変わらんから…!笑」
振り切ったように俺を見て笑う彼女。
どこか寂しそうな笑顔が脳裏に焼き付いた。
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ゴールの見えない物語を試行錯誤しながら書いてる作者です(◡̈)/←
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作者名:すーさん。 | 作成日時:2019年5月28日 0時